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2024年春闘、事業所規模30人以上の製造業や卸売業・小売業では実質賃金確保

2024年10月4日
一般社団法人成果配分調査会代表理事 浅井茂利

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2024年春闘、事業所規模30人以上の製造業や卸売業・小売業では、所定内賃金で実質賃金確保

 連合の集計によれば、2024年春闘におけるベースアップは、平均(規模計)で3.56%となっており、全体としては、過年度(2023年度)や最近の消費者物価上昇率を上回る結果となっています。しかしながら一方で、厚生労働省「毎月勤労統計」によれば、実質賃金割れが続くところとなっており、「がんばってわが社でベースアップを行っても、全体として実質賃金割れでは意味がない。むなしい」などという声もあるようです。
 しかしながら、「毎月勤労統計」のデータでも、
*(一般的に用いられる5人以上ではなく)事業所規模30人以上で、
*製造業や卸売業・小売業に関して、
*一般労働者とパートタイム労働者とを分けて、
*所定内給与について、
実質賃金の動向を見てみると、2024年4月以降、一般労働者についても、パートタイム労働者についても、おおむね前年比プラスの傾向となっており、実質賃金が確保されていることがわかります。

 こうした違いは、
①大企業、中小企業、零細企業では、労働組合組織率に圧倒的な違いがあり、労使対等の交渉の結果としてベースアップが行われているのは、事業所規模5~29人では、大企業の営業所などに限られるものと見られること。
②製造業では金属労協加盟産別、小売業ではUAゼンセンによる強力な春闘指導が行われていること。
③製造業ではやや異なるが、全体としては、一般労働者よりもパートタイム労働者のほうが賃金増加率が高い傾向にある。こうした中で、一般労働者が増加し、パートタイム労働者が減少しているので、一般労働者・パートタイム労働者合計の賃金増加率は、一般労働者、パートタイム労働者それぞれの賃金増加率よりも低くなってしまっていること。
などによるものと考えられます。

 春闘結果はきちんと「毎月勤労統計」に表れており、
*毎月勤労統計によれば、物価上昇をカバーする賃上げはできていない。賃上げは大手などごく一部のものだ。
というような言い訳が通用しない
ことは明らかです。

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