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消費者物価上昇率(総合)の4~1月平均は2.9%

2025年2月21日
一般社団法人成果配分調査会代表理事 浅井茂利

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 2025年2月21日発表の消費者物価指数(総合)によれば、2025年1月の前年比上昇率は4.0%となり、その結果、2024年度4~1月平均の上昇率は2.9%となっています。(図表1)

 2024年度4~1月平均について、「総合」、「生鮮食品を除く総合」、「持家の帰属家賃を除く総合」を比較してみると、「総合」は「生鮮食品を除く総合」を0.3ポイント上回り、実質賃金の算出に用いられる「持家の帰属家賃を除く総合」は「総合」を0.5ポイント上回っています。「生鮮食品を除く総合」と「総合」、「持家の帰属家賃を除く総合」との差がやや拡大していることに留意する必要があります。(図表2)

 なお、マスコミ報道では、「生鮮食品を除く総合」がよく使用されますが、春闘の交渉材料としては不適切です。「生鮮食品を除く総合」は、天候要因で値動きが激しい生鮮食品を集計から除外することによって、月ごとの消費者物価指数の動きから、物価の基調的な動向をとらえて報道しようとするものです。しかしながら、ベースアップの交渉材料として物価を議論する際には、「年度」の上昇率を用いる場合が多いと思いますので、月ごとの動きを見る指標である「生鮮食品を除く総合」を使用する意味はありません。たとえば入試に備えた模擬試験では、何点とったかは問題ではなく、偏差値が重要ですが、入試本番では、点数そのもので合否が決まります。「生鮮食品を除く総合」は偏差値のようなもの、「総合」は点数そのもの、と考えれば、イメージが近いかもしれません。

 また生鮮食品は、生活必需品の中でも最も重要なものです。賃上げ交渉でそれを除いて議論するというのも、おかしなことです。「生鮮食品を除く総合」は、「総合」よりももっと「持家の帰属家賃を除く総合」から離れてしまうという点でも、不適切と言えます。2024年度4~1月平均で見ると、「生鮮食品を除く総合」と「持家の帰属家賃を除く総合」との差は、実に0.8ポイントに達しています。「生鮮食品を除く総合」を根拠に交渉していたら、実質賃金維持はおぼつきません。
 ただし予測については、日本銀行や民間調査機関の予測では、「生鮮食品を除く総合」が用いられているので、それを参考にせざるをえません。その場合、「総合」との差について、意識しておく必要があります。

 3種類の消費者物価上昇率の違い、実質賃金の算出になぜ「持家の帰属家賃を除く総合」が用いられるかなど、詳細は、本シリーズ「物価は今後も継続的に上昇していく」をご覧ください。

<図表>

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