【実例紹介】音楽活動も、企業経営と同じく「投資」は必要。「経費」との違いとは?
音楽バンド「Neontetra」のセイカです。2020年に夢のメジャーデビューを叶えることができたのですが、音楽こそ「投資」という考え方が必要と実感しています。音楽活動は基本的にお金がかかるのですが、ここでいう「投資」は、「活動資金の事」ではありません。「投資」とは、「自分たちの認知度を広げ、次なるステージにいくためのお金」、を指します。
私は、「バンド運営」=「スタートアップ企業の経営」と同じと考えて、「Neontetra」というバンドを運営し、メジャーデビューをすることができました。自分たちがトライしてよかった経験を、バンドマンや、フリーランスの方、個人事業主の方たちの参考になればという思いで、書いていこうと思います。
音楽活動や、事業を継続するにはお金がかかる。これこそが「経費」。
音楽活動や、フリーランスで活動されている方、個人事業主の方、みなさんが活動や事業を行う上で、少なからずお金はかかると思います。もちろん、今の時代は、パソコン1台あれば、音楽活動も、フリーランスのコンサル系やネット技術者さんなどは、十分に活動していくことが可能になってきました。私も現に、パソコン1台で音楽を作っています。DTMと呼ばれるソフトを用いて。
しかしながら、音楽活動の場合、ライブをするとなると、多少のお金がかかります。リハーサルを行うためのスタジオ室料。演奏陣に依頼する際は、演奏サポート依頼料。そして、自分のマイクが欲しい、ギターのエフェクターが欲しい、ステージ衣装、レコーディング用の機材、ライブ配信用のカメラ、フライヤー印刷料金、ロゴのデザイン料・・・とにかくきりがないです。
バンドマンはお金がない、とよく言われますが、本当に音楽活動はお金がかかります。特に、ライブ活動をしているアーティストはなおさら。しかし、私の中では、これは「必要経費」という考え方です。この記事で書いていく「投資」とは異なる項目です。
「必要経費」は、一定のクオリティを保ちながら、活動を継続するために必要なお金、という前提をしておきたいと思います。今日の記事で書いていくのは、その先の「自分たちの認知度を広げ、次なるステージにいくために必要なステップアップのお金、つまり『投資』」の話を書いていきます。
フリーランスや、音楽活動をする上での「投資」って何?
「必要経費」と「投資」。これを混同して考えると、「音楽はめちゃくちゃ金がかかる」「全然見返りがない」となってしまいます。そのため、しっかりと「必要経費」と「投資」は分けて考える必要があると思っています。
では、「投資」とは。
「自分たちの認知度を広げ、次なるステージにいくために必要なお金」です。
なので、極論
「投資」=「0円」でも活動が成り立つお金、と考えていただくと分かりやすいかもしれません。だから、「投資」というのは、事業活動を行う上で、なくてもいい項目(出費)ともいえます。
スタートアップ企業運営の視点で「投資」を考えてみる
しかし、ここで「バンド運営(音楽活動)」=「スタートアップ企業の経営」という視点で考えてみたいと思います。
設立して間もない「スタートアップ企業」の中にも、技術力はしっかりあり、目の付け所が素晴らしく、世の中のためになるような商品やサービスを作っている企業は沢山あります。でも、「認知度」や「信頼度」が高くないため、そのサービスや商品を手に取ってもらうことができません。そこで、彼らは何をしていくでしょうか。
例を挙げていきます。
わかりやすいところで言えば「ネット広告を出す」。少しでも、自社商品を知ってもらうために、多くの人に見てもらえるようインターネット広告を出す、という手法です。
他には、「売るためのプロフェッショナル人材を雇う」というリクルーティングもあるかもしれません。さらには、より一層、消費者の目にとまるようにということで、「イベントの主催・イベントへの出展」、ということもあるでしょう。
これらの例は、「商品やサービスを作って売る」、という観点から見ると、やらなくてもよい項目にあたると思います。広告を打たなくても、売るプロがいなくても、イベントに出展しなくても、企業活動の核になる「商品やサービスを作る」ということはできちゃうわけなので。
しかし、これらの「やらなくてもよい項目」にお金をかけてやるのはなぜでしょうか。それが、冒頭でも書いたように、「自分たちの認知度を広げ、次なるステージにいくため」です。商品やサービスを今以上に販売拡大し、企業の認知度を高め、信頼を勝ち取り、より大きな企業と対等に契約・連携できるようになり、さらには、日本を代表、世界を代表する企業になる・・・など、企業を次のステージへ押し上げるための活動項目です。これこそが「投資」です。
音楽活動では、何が「投資」にあたるか?
私は、「バンド活動=スタートアップ企業経営」という考え方でバンドを運営した経験から、この「投資」という考えを音楽活動でも取り入れてきました。
私たちの場合は、「メジャーデビュー」ということが夢・目標でした。そこを達成するために、私たちのバンドは、どうなっていなければいけないでしょうか。そこから考え始めました。
●ファンが〇〇〇名
●CDの販売数が○○○○○枚
●メディアからの取材・出演依頼が○○○件
●大規模ライブハウスでライブ
●世間への話題作り
など
書き出したのち、上記のことをどうやったらクリアしていくことができるかを考えていきます。知人経由で担当となりそうな人を紹介してもらう、路上ライブを毎日やって毎日CD販売する、Twitterでキャンペーンをやって、ファンになってくれそうな人にPRしていく、など自分たちの稼働や知恵で、達成できそうなことはどんどんやっていく方向でよいのですが、どうしても自分たちが稼働することや知恵を出すだけはどうにもならないことがあります。
しかし、そういったことは、「お金を出すこと」で多少なりとも解決できたり、スムーズに進めることができる場合。それにお金をかけることを「投資」と考えています。
何度も書きますが、ここでいう「投資(お金を使う)」は、音楽活動や事業活動継続のための「必要経費」ではなく、「次のステージ(私たちの場合だとメジャーデビュー)」という将来の夢を達成するため、自分たちがステップアップするために必要な資金・項目のことです。
今は知名度がある企業でも、スタートアップ企業として創業してから、「投資」はやってきていると思います。音楽も、個人事業主も、この企業型のやり方は取り入れられると思っています。思い切って「投資」を決断することが、個人の場合でも次のステップアップにつなげてくれる、という風に考えています。
事例:広瀬香美さんへのオファーという「投資」。
これは私たちが実際に行った「投資」の一例です。
元号「令和」の発祥の地である、私の故郷・福岡県太宰府市を盛り上げるべく、私たちNeontetraは、太宰府のイメージソング「時の旅人 ~令和ゆかりの地・太宰府のうた~」を制作したのです(のちのメジャーデビュー曲になる)。そこで、この曲のPVを作ろうということとなり、太宰府市の名所でプロモーションビデオを撮影しようという話になりました。
ただ、ここで単に私たちだけが出演して、話題作りができるでしょうか?このPVをよりいっそう多くの人に見てもらうことができるでしょか?自分たちのファンしか見てもらえないんじゃないか。そうなると、「音楽で太宰府を盛り上げたい」として作った曲やPVの目的を達成できないのではないか、問う考えるようになりました。
そこで。
私たちは、同じく太宰府出身の「広瀬香美さん」にPV出演をオファーしに行ったのです。インディーズの身分でありながら・・今思うとちょっと恐ろしいですが、当時は怖いものなしでした(笑)。
広瀬香美さんに出演交渉を行う中で、もちろんお断りを何度もされましたが、結果、出演頂けることになりました。ここは、広瀬香美さんの寛大な御心に、感謝の気持ちでいっぱいです。本当に、スタッフさん含め、素晴らしい皆様です。
さて、ここで問題になるのは、「出演料」です。大前提として、香美さんは、故郷を盛り上げるというNeontetraの姿勢に協力したい、というお気遣いをいただいたため、莫大なお金が必要だった、というわけではありません。(香美さん、事務所の皆様のお心遣いに感謝してしてもしきれません!ありがとうございます!!)
一方、福岡県太宰府市で撮影するので、「無料で」ということにはなりません。「飛行機代」「現地での移動車」「ヘアメイクさん」「衣装代」などは、必要経費・実費としてかかってくるわけです。これを当然ながら、ねん出する必要が出てきます。PVは無料で公開するので、「収益」はありません。純粋に、この出演料をお支払いする場合は、このプロジェクト単位でみると「赤字」になります。
さてここで、冒頭の話に戻ります。
例えば本件、「広瀬香美さんに出演頂かなかった」としても、PVは撮影できたわけですので、この「広瀬香美さんに出演頂く&そのための資金」というのは、完全に「投資」という考え方になります。「よりいっそう、このPVを多くの方に見てもらいたい、話題作りをしたい」という、目的や夢を叶えるためのお金、という考え方です。
このケースでいくと、広瀬香美さんにご出演頂いたことで、テレビ局や新聞社が6社も取材に来て下さり、広告換算値で言うと500万円以上のメディア露出があったという試算になりました。また、このPVが公開されたことで、広瀬香美さんフックで知っていただいた方、また、レコード会社の目に留まった際も、広瀬香美さんが協力して下さっているアーティストとして、信頼度や最初の印象は良かったとのお話を頂きました。
「投資」後の効果を、冷静に考える
このような状況になった時。
みなさんはどのような決断をされるでしょうか。私たちは迷わず、この「出演料」をお支払いさせて頂くことにしました。
それは、広瀬香美さんに出演いただくことで、Neontetraの力だけではどうにもならない「多くの人に見てもらうことができる」ということを叶えることができる、そして、「話題を作ることができる」、さらには、広瀬香美さんにも協力してもらえるアーティストさんなんだな、と「Neontetraへの信頼度UP」につながる可能性がある。
上記の様々な効果が期待できることから、私たちにとっては、広瀬香美さんの出演料を準備することは、音楽活動にとって必要な「投資」だと判断しました。
(何度も書きますが、香美さん側に費用の面で非常に温かいお心遣いをいただきご出演いただいたので、感謝の気持ちでいっぱいです。)
「投資」である以上、成功の確約はない。
注意しなければいけないことがあります。
「必要経費」とちがって、「投資」には確実性がありません。確実にその効果ができるのであれば、企業の場合はだれでもその会社の株を買う投資をしますし、同じく芸能人にお金を払えば認知度が上がって商品が非常に売れるならだれでも投資するでしょう。
でも「投資」である以上、これらは、その金額に見合った効果が確約されるわけではありません。どれだけ将来性のあると判断した会社に投資したって、リーマンショックなど外的要因も関わって倒産してしまう可能性もあります。その場合、投資の資金は1円も戻ってこない。リターンなしです。
「必要経費」は、そのかけた費用分、しっかりと日々の活動ができますが、「投資」は、当たれば投資した以上の効果が見込めるものの、失敗すれば何の効果を生まないだけではなく、赤字になることもあるということを、心に留めておかねばならないと思っています。
なので、「投資」は、やみくもにお金を使っていくということではなく、専門家の意見や世間の情勢、そして、将来の目標との兼ね合いを検討したうえで、慎重に、かつ、大胆にやることが重要と考えています。
まとめ
●「必要経費」と「投資」を分けて考える必要がある
●「必要経費」は、日々の活動や事業を継続する際に最低限必要となるお金
●「投資」は、自分たちの認知度を広げ、次なるステージにいくためのお金」
●将来の夢の実現や目標達成のために、「投資」をすることで達成する確率を上げる
●「投資」には確実性がない。慎重に見極めることが必要。
本記事の著者:Neontetra セイカ
「Neontetra(ネオンテトラ)」は、Vo.セイカとBa.ヒデユキからなる、音楽バンド。90年代テイストのキャッチーなメロディーと、令和時代のトレンドアレンジを融合させた、「懐かしくも新しい音楽」が幅広い世代に支持されている。
2020年12月2日に徳間ジャパンコミュニケーションズより、「時の旅人 ~令和ゆかりの地・太宰府のうた~」でメジャーデビュー。セイカの故郷・福岡県太宰府を盛り上げるべく制作した楽曲コンセプトに、同郷の広瀬香美さんが賛同し、太宰府の名所11か所で撮影されたMUSICVIDEOにゲスト出演した。オリコンチャート・デイリー第23位、週間38位、ビルボードランキング第37位を獲得した。
「音楽で地方創生」を掲げ、太宰府市のコロナウイルス対策動画を制作するなど、地域貢献活動を積極的に行っている。
CD「時の旅人 ~令和ゆかりの地・太宰府のうた~」ご購入応援、どうぞよろしくお願い致します!
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