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ロビーから伝わる家族愛

 最近はコロナ禍で面会することは簡単ではありませんが、以前はたくさんのご家族が面会にいらっしゃっていました。事務所で仕事をしていると、ロビーで面会されている会話が聞こえてきます。

 A様の息子様は、面会のたびに擦ったリンゴを差し入れされていました。きっとA様の好物なのでしょう。Aさんは、
「あんたも食べ、美味しいよ」
といつも息子様に勧めていました。息子様は、
「いいから全部食べ」と答えます。するとA様は、
「全部食べていいの?美味しいよ、いいの?」
と、とても喜ばれていました。母を想い、母の好物を差し入れする息子様と、息子様へ「あんたも食べ」と必ず声をかけるA様。お互いがお互いを想う気持ちが伝わってきます。

 B様は、息子様が面会にいらっしゃった時に、
「あんたのおかげで、私は何の不満もなく、楽しくここで生活できています。ありがとうね」
と必ず伝えていらっしゃいました。

 私にも2人の息子がいます。私だけでは経験しなかっただろうなと思うことも経験でき、息子のおかげで今までの人生は楽しかったと思っています。でも、それを伝えているか?と考えると、ほとんど伝えていません。

 心で思っていても、B様の様に言葉にして伝えなければ伝わりません。B様が感謝の気持ちをいつも言葉にして伝えているからこそ、あんなに素敵な親子関係が築かれたのだと思います。いくつになっても親は子を想い、そしてまた子も親を想う。そんな素敵な光景を見るたびに、私自身が温かく優しい気持ちになっていたことを思い出します。

 相手を想う気持ちや感謝の気持ちを伝えることは、人間関係全てにおいて大切で必要なことです。その大切なことを当たり前にできる人が増えると世の中はもっと平和で生きやすくなることでしょう。A様やB様のおかげで『生きていく上で大切なこと』に改めて気づくことができました。まずは身近な人に『ありがとう』を伝えようと思います。

老人保健施設 清華苑養力センター
事務員 服部英子

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