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想いに耳を傾けて

 女性ご利用者のM様がグループホームへ入所されたのは89歳の時でした。普段からご自分のお部屋で過ごされる事が多く、とても無口な方でした。

 ある日の事、M様の入浴介助をしていると、M様は、自分の履いている紙パンツをじっと眺めて、小さな声で…
「これ汚れたらすぐ替えられるし、皆も同じこのパンツ履いているの?」
「これ赤ちゃんと一緒のパンツね…格好悪いね…」
とそうつぶやかれました。その表情はとても悲しげで寂しそうでした。Ⅿ様がその思いを打ち明けてくれた時、私に出来ることは何だろうかと考えました。  

 私はM様の理想のパンツへ向けて、各職員へ意見を求めました。意見は賛否あり、
「紙パンツの方が安心ではないか」
と心配する声もありましたが、先輩職員から
「M様の気持ちを考えて布パンツでやってみましょう」
と背中を押して頂きました。早速、新たに購入した布パンツを手にしたMさんは、大きく広げて、
「ええわ~レース付きやね、見てみて~赤ちゃんと違うね~大人やね~」
とキラキラと目を輝かせて、とても喜んで下さりました。

 それからのM様は表情も明るく、皆が集まるホールで過ごすことが多くなり、とても活動的に過ごされました。
 ご利用者一人一人の想いに耳を傾けて、その方にとって本当に価値あるサービスをこれからも提供して行きたいと思います。

グループホーム 清華苑ポートピア
介護員 小嶋綾子

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