
「使いたい!」と思う表現を目指して〜バクラク ブランドリニューアルPJ③〜
はじめに
これは「バクラク」のブランドリニューアルに関わったデザイナーが、それぞれの視点からプロジェクトについて紐解く全5回の短期集中連載です。

今回は第3弾。LayerXバクラク事業部コミュニケーションデザイナー山崎から、キービジュアル開発に関しての記事です。
キービジュアルの役割
ブランドリニューアルに伴い、サービスサイトなどの展開もリニューアルすることになり、その一環として私がキービジュアルの開発を担当しました。キービジュアルの役割は、ユーザーが「これ、自分にぴったりだ!」と直感的に思える表現を作ること。ただの装飾ではなく、見た瞬間に「これなら使えそう!」と感じてもらうことが重要です。
特に、経理の人が「自分の仕事に役立つ」と思えるビジュアルを目指し、試行錯誤を重ねました。まずは現場の声を聞き、経理担当者がどんな課題を抱えているのかをリサーチ。さらに、どのようなビジュアルが共感を得られるのかを探るため、人物を入れるか、プロダクトの機能を前面に押し出すかなど、細かな表現の違いも検討しました。

そもそも「使いたい」って?
「使いたい」と思ってもらうためには、いくつかのポイントがあります。まず、プロダクトがユーザーの困りごとを解決できるものであることが大前提。加えて、説明がなくても「こう使えばいいんだな」と直感的に分かるデザインが求められます。そして、ユーザー自身がプロダクトを使っている姿をイメージできることも重要。ここが曖昧だと、「なんか良さそうだけど、自分に合ってるのか分からない…」となってしまいます。
「自分が使うもの」と思ってもらう
リアルな経理シーンをとことん追求
まず、経理担当者が日々どんな業務をしているのかを知るため、社内でのヒアリングを重ねました。実際のデスク環境やツールの使い方、仕事の流れを細かくチェック。そこで浮かんだのが、「人物を出すべきか?出さないべきか?」問題。人物を入れることで「自分ごと化」しやすくなる一方で、ツールの機能を前面に出したい場合は、あえて無人のシーンのほうが適しているなど、どちらがより刺さるのか、検証を繰り返しました。
経理業務でフリーデスクはありえない(?)
経理のリアルな業務シーンを描くなら、デスクの上には電卓、書類、ハンコ…いろんなアイテムがあるはず。でも、それをそのまま描いてしまうと、どうしても「従来の経理業務のイメージ」感が強くなってしまう。例えば、ノートパソコンの素材を使おうと考えましたが、経理の方は秘匿性の高い環境で働くため、フリーデスクのような開放的なオフィスではなく、個別のデスクで作業するケースが多いと判明しました。そこで、テンキー付きのデスクトップPCを使用したデスク環境の方が、よりリアルなシーンになると判断しました。バクラクのような先進的なプロダクトを訴求しつつ、業務環境としての説得力を持たせるために、このようなディテールを詰めました。

各サービスごとに違うシーン、だけど統一感を出したい
バクラクには複数のプロダクトがあり、それぞれに異なる特徴があります。だからこそ、プロダクトごとに適したビジュアルを作る必要があります。しかし、どこから訪問しても「これはバクラクだ!」と認識できるような統一感も大事。そこで、各サービスの世界観やカラースキームを活かしつつ、ブランド全体の一貫性を持たせることを意識しました。

手段としてのキービジュアル
ブランドリニューアルが「企業の価値やメッセージを再定義すること」なら、キービジュアルは「その価値を視覚的に伝え、共感を生むための手段」です。単なる統一感だけではなく、プロダクトごとの個性が際立つようなバランスを考えながら、設計を進めました。そして、最終的には「このツール、便利そう!」と思ってもらい、実際の利用につながることを目指しています。
キービジュアルは、ただのデザインではありません。経理担当者が「これなら自分の業務にフィットしそう」と思えるかどうかが、何より大事なポイント。リアルな業務シーンの再現と、バクラクらしい先進的なイメージのバランスを取りながら、ブランドの統一感と各サービスの独自性をうまく共存させることを目指しました。
まとめ
今回のキービジュアル開発では、経理担当者が実際に「使いたい」と思えるビジュアルを作ることを重視しました。リアルな業務環境を再現しながらも、先進的な印象を損なわないようにバランスを取り、視覚的な説得力を持たせることにこだわりました。
撮影やデザインの過程では、秘匿性の高い業務環境に適したデスクトップPCを採用したり、経理担当者と従業員の役割を明確にしたシーン設計を行うなど、細部にわたるリアリティを追求しました。こうしたこだわりが積み重なることで、ターゲットユーザーに寄り添ったキービジュアルが完成しました。
これからもブランドのメッセージを正しく伝え、共感を得られるデザインを模索し続けていきたいと思います。
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