短歌人2018年4月号 会員1欄(2)
にんげんがいない よ みちにめがね屋のナイロン製のはたのはためき/鈴木杏龍
「目的地が見つかりません」冷たくてはっきり喋るカーナビの人/鈴掛真
『真砂集』の兎が二十二羽をりて四十四の瞳でありぬ/ 萩島篤
文字は打つものではなくして書くものだペン無き部屋に苛立ち募り/黒田英雄
入浴をしたくない訳たずねると「誰も褒めてくれないんだもの」/笠原宏美
春は相撲、冬はアルペンにクロカンと義務教育時代の悪夢/小玉春歌
言い返せずエクレアまるごと頬張ったモカクリームがあふれて喉へ/柳橋真紀子
除夜の鐘撞き何となく来る年は良い事あるといふ気がしたり/小池東雲
全国の器好きらが集い来るテーブルウェア・フェスティバル/直井美代子
呼吸装置(レスピーター)のふときチューブが抜き取られ夫は死へと解放される/四屋うめ