短歌人2018年4月号 会員1欄(1)
真夜の空先ずオリオンを見上げればかたくするどく瞬いており/籠房代
いつだつて無断欠席するくせに要求するときだけ電話くる/さつき明紫
住職と話しながらの拝観は試されているような緊迫/上村駿介
全身で婆娑羅(ばさら)の如く入浴を拒否していたり米寿の母は/芦田一子
チョコボール好きでエンゼルも集めつつ机にチョコボールの箱の山/來宮有人
落日は半熟卵の黄身みたい大きくゆがみ溶け出してゆく/伊藤濤子
六年余鳥取に住む子に会ひに呼び出だされて羽田から発つ/阪本まさ子
年下の盆暗共の群れに混ざり老人会で唱歌口ずさむ/大鋸甚勇
かなしいと言えばはるかな嘘になる東西線で九段下まで/笹川諒
今生はやがて途切れるおりおりの休符のような四角い寂夜/高良俊礼