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別タイプの書き方をしてみる その後3

このシリーズはちょっと長くなってしまったので、タイトル画像を替えてみました。前記事で書いたように、自分ではあまりやらないストーリー主義で書いてみよう(スタディで)と考えて、書き始める時には短い文章を書こうとしたのですが、書き始めてすぐに長くする事にしてしまいました。そのため、下書きを終えるのにちっと時間がかかっています。今回は今までスタディを書きながら気付いた事をここに書いておきます。

ところで、なぜ長く書く事にしたかと言いますと、ストーリー主義で書いた場合に、ある程度「長く書かないと成立し難い」と気付いたからです。

以前に書いたムーミン的書き方のスタディでは、文章から透過する意図や意味がわかるのに十分な長さがあれば良かったのに対して、ストーリー主義の場合はストーリーそのものが目的となるために、長さがどうしても必要になるようです。裏にある思いがどうであれ、瞬間、瞬間を楽しめなければならず、そして全体を通じてもそうでなければならないからです。

そうしますと、ストーリー主義の成立要素としては下記のようなものになるのではないでしょうか。

  • 瞬間を楽しめる文章表現

  • 瞬間を楽しめるイベント表現

  • 文章全体での矛盾の無さ

  • わかりやすい環境や人物の設定

文章表現に関しては、これが小説だと意識して書くと古典的な小説のスタイルを考えて書かれる方が多いように感じますが、よく読まれている作品ではその枠を遥かに超えていて、話し言葉そのままであったりするものもあり、「楽しませる」エンターテインメントと考えればいわゆる小説を意識する必要は無い気がします。もちろん、そうした場合にそんなのは小説ではないと批判を受ける危険性もあります。作品が小説であるか、別のエンターテインメントであるかは書き手の自由ですし、可能な新しい表現の範囲を追求しているとも考えられますので、あまり堅苦しく考えなくても良いとは思います。

瞬間を楽しめるようにするには文章表現とともに、イベントが重要そうです。頻繁に起こる小さな事件、時々起こる大きな事件です。これは下記の文章全体での矛盾の無さと時々コンフリクトしてしまう事があります。つまり、面白くするために行き当たりばったりになります。これを後で何らかの方法で収めるか、全体に拘束された小イベントを意識して書く事になります。

文章全体での矛盾の無さは、実際は、SFやファンタジーでは現実世界と全く異なるおかしなことがあってもかまいませんので作者が意図的にするのであれば矛盾は吸収できそうに思います。事故でなく、あくまでも意図的にですが。

わかりやすい環境や人物の設定に関しては、ストーリーの複雑な長文になりますと設定が少なくて単純な方が読みやすい、そして書き易いと考えられます。もちろん細かいところまで、つまりストーリーの細部にしか関係しないところまで設定する事もマニアックな楽しみを産みますからしても良いとは思います。実際にそういう作品もあります。けれども、作品を成立させる必要最小限ではないと考えます。これは書く側の力量によってでしょうか。

逆にあまり重要視しなくても良さそうな要素もあります。

  • 形容詞や副詞を使った修飾的な表現

  • 人物の感情表現

  • 文章を書く意図や意味

形容詞や副詞を使う事で美しい文章が出来上がりますが、逆にそれにこだわり過ぎるとその語彙に含まれた在り物の意味を自分の文章に引き継ぐ事になり、エンターテインメントとして考えた場合の意外性を削いでしまう危険が大きいと感じます。こうした事は古典的な小説の書き方を意識して使われる事が多く、実際にも使っている方も多い気がします。自分の書く文章が文学の中に位置するものであるのか、エンターテインメントなのかによって選べば良いように思います。ストーリー主義で書くのであれば、エンターテインメント寄りが多いと思いますので語彙に制約を受けるのは危険なのかな?と私は考えます。

人物の感情表現は古典的な小説の中では、「思った」「感じた」「悲しんだ」など単純な感情の言葉を使うよりはその時の人物の行動や仕草を「描写する」、または感情を写す「心象風景」等によって描かれます。これはエンターテインメントと位置付けた場合でも、古典と同様にした方がカッコ良く書けます。ですが、絶対に必要かと言いますと、プライオリティーが低いのではないでしょうか? 例えば1人称で書いていれば、口語的な表現が多用でき、その中に「非っ常にキビシ〜ッ!」(財津一郎 ←古すぎで誰も知らない?) と書いてしまっても楽しめる事は間違いないのです。単に一般の小説的でないだけで悪いとは言えません。

文章の意図や意味は、有れば有ったでしょう。特に何話にも分けて連作する場合、途中の1話を読んでそれを表現するのはほとんど無理です。だからと言って読者に全話読んでから振り返って意味を考えてもらうというのも難しい気がします。長編の書評をプロが書いているのを読みましても、結局「主人公の成長譚」だねという程度で終わるのが常です。主人公が心理的に立派に成長しても、そこまで行かずに死んでしまってもお話は成立する事を考えますと、これもプライオリティーは低いと考えます。


ここに書いたのは、ストーリー主義で文章を書くコツのようなものではありません。実際に書いてみて、こうではないかな?と考えた感想に過ぎません。皆さんはどう考えて書いていますか?


ところで、今スタディで書いている文章はやっと5万字です。まあ、ここまでで半分まで行ってないかな? ゆっくり書いています。このスタディを早く終わりにして前に考えていた「Life on Mars」を書きたかったのですが、手付かずです。まずい! あまり長く放って置くと忘れてしまいそう。









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