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仲良しこよしでは物事は変わらない。 Vol.10


スーパーで働いていた時
1番楽しかったのは売場をつくっているときだった。自分でプランを立てて お客様からどうみえてるのか? 買いたい!って思わせたい!、スタッフを驚かせたい、店長をびっくりさせたい、社長に何も言わせん!などモチベーションはいくらでもあった。正直、買いやすいとか わかりやすいとかどうでも良かった。立てたプランがカタチになっていくのがなんとも言えない快感だった。


売場づくりに自信を持ち始めた時、コカコーラの売場コンテストがやってきた。圧倒的な日本一を狙った。天井まで積み上がったコーラの大量陳列はまるで恐竜のようだった。
コカコーラの大きなオブジェなども味方して売場はすごくカッコよかった。陳列大賞は目の前まできていた。次の日の朝、出勤すると大量陳列は倒れていて破裂したペットボトルと缶が大量に飛び散り散乱していた。まさに絶句、そして地獄絵図だった。天井から壁、床と大掃除。大賞を獲れると確信していた売場を失って完全に意気消沈していた。もう一度売場をつくる気力なんてなかった。それが全力を尽くした証明だった。


ところがその日、大量にコーラが売れた。


破裂したコーラのニオイが店内に充満してお客様の購買につながったと気づいた。


ニオイか!カオリを出すとお客様は買ってくれる!と今では当たり前だが 当時は気づいた自分にノーベル平和賞を与えそうになった。


そう信じて ニオイといえばウィンナー!と
思いついてしまった笑。肉売場で賞味期限間近のウィンナーを精肉部門のチーフに黙って大量に盗んできて、自分のデイリー部門と一般食品部門の焼きそばやうどん、豆腐、こんにゃく、たまご、いろいろなものと和えて試食販売を決行した。たいていの試食販売は成功をおさめた。 ウィンナー効果は絶大でウィンナー自体もよく売れるが一緒に混ぜた豆腐なども相乗効果で売れた。


最初は精肉部門のチーフと副チーフはブツブツ文句を言っていた。でも 自分からしてみれば 肉売場に賞味期限ギリギリのウィンナーがおいてあっても見栄えが悪いしどうせそのままゴミ箱にいくのだから「俺に任せてください」と説得した。そこから毎日、準備のため、ウィンナーを休憩所で焼き続けた。レジのパートさんたちもニオイに負けて買ってくれるようになった。


精肉部門のチーフも売れるから段々と興味が湧いてきた。一緒にウィンナーを焼く時間ができ、すごく仲が良くなった。


すると交換条件で肉売場に焼肉のタレやドレッシングを置かせてもらえるようになった。そして回鍋肉の素や青椒肉絲の素なども肉売場に並び冷麺はチャーシューの売場へ並んだ。


部門の垣根を次々と越えはじめた。


そんなとき大事件がおきた。ここでは語らないが精肉の副チーフが救急車で運ばれるほどの大けがをした。それに対しての自分の対応がたまたま良かった。前日にその大けがの応急処置の仕方をテレビでやっていたのを偶然にみていたおかげだった。いろいろなことを端折って言うと


貸しがまた1つできた。いやこれは1000個だろ!


そして気づいたら 異動してきた当初、ギクシャクしていた人間関係はどんどんと改善されていき 鮮魚部門のチーフ以外とはすごく仲が良くなった。


そして3ヶ月前にカツオを投げつけた鮮魚部門のチーフが理由はわからないが突然、退職した。


3ヶ月前まで八方ふさがりだった人間関係は
みんなが羨むような人間関係になっていた。



人間関係はきっと差し障りのない会話や議論であれば良好という名の「仲良しこよし」でいられる。でも仲良しこよしでは物事は変わらない。


人間関係を本当の意味で築くためには
悩んでいてもはじまらない。
おべっかを使っても意味がない。
相手の顔色をみてびくびくしててもつまらない。遠慮なんて最も邪魔だ。


人間関係を築くのに必要なことは
ピンチやトラブルを超える力と 
ともに成果を出すこと、
そして貸しができるぐらい与え続けることが必要だと知った。


そして一生懸命やっていると 嫌な人は自分のまわりから勝手に去っていくと知った。


23歳の若さでそれらを知ったのは本当に宝になった。


諏訪聖二 房の駅を立ち上げるまで
あと9ヶ月。

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