私が物理学を諦めた理由

　宇宙は浪漫です。

　幼少期の私は宇宙に強い憧れを抱いていました。青空のむこうに何があるのか。夜空の星々はどうなっているのか。未知への憧憬は夢を描きます。中学生の頃まで宇宙飛行士になるのが私の夢でした。

　身体的な理由で宇宙に行くことを諦めたものの、宇宙に関わる仕事への興味は続きました。とある公立高校の理数科に進学した私は、やたら理数科目の多いカリキュラムを経験しました。同じ学校の他クラスより授業数自体も多く、部活が始まる時間も授業中でした。それに加えて課題量が膨大でしたから、私はテニス部を1週間で辞めました。

　数学も物理学も好きでしたが、将来その道を極めて仕事に出来るかと考えたとき、私は大いに悩みました。周りにデキる奴らがいっぱい居たからです。

　ある友人に数学の質問をしたところ、「だってそうでしょ」と言われました。彼は高校数学の難問をスラスラ解く秀才でしたから、何かヒントが得られるかと期待しましたが、分かったことは絶望的なセンスの差でした。彼は意地悪をしていたのではありません。ただ純粋に瞬間的に理解できる部分について「だってそうでしょ」としか言いようがなかったのです。そもそも高校数学は昔の数学ですから、この範囲くらいスラスラできないようでは現代数学の研究など務まるはずもありません。

　私は数学の道を諦めました。

　別の友人に物理学の質問をしたところ、「それは高校物理の範囲じゃないからなぁ」と言われました。なにそれ、どういうこと。彼は「俺も別に詳しくないけど」と言いながら、量子力学の話をしてくれました。曰く、この世界には基本的な「四つの力」があって、すべての物理法則は「重力・強い力・電磁力・弱い力」によって説明可能だと。素粒子がどうのこうのと楽しそうに語る彼を眺めながら、私の思考は宇宙の彼方を泳ぎました。

　重力。わかる。質量が場を歪ませて引き合う力が生まれます。まぁそういうこともあるでしょう。

　電磁力。わかる。日常に感じることのできる力のうち、重力以外は大体全部これです。プラスとかマイナスとか、磁場とか電場とか。うん。わかる。

　強い力。わかる。原子核で陽子と中性子がギュッとまとまるとき、陽子同士は電磁力で排斥するはずなのにそうならないのは何故か。それは強い力が働いているからです。グルーオンなる粒子が力を媒介するそうです。まぁわかる。

　弱い力。わからない。

　私は物理学の道を諦めました。

　生物学を探求すると化学が必要と分かります。化学を突き詰めると物理学に通じます。物理学と数学は類似点も多く、物理学の一部は数学的で逆もまた然りと思いますが、物理学がなくとも数学は成り立つ一方数学がなければ物理学は成立しませんから、これらの学問の根底には数学があると分かります。

　そこで私は考えました。

　科学的な真理の探究はセンスのある数学者と物理学者たちに任せて、私は別なことをしよう、と。そうして幾つかの記事でも触れてきたように、なんやかんやあって私は結局、医者になりました。

　専門分野には呼吸器内科学と漢方医学という相容れない水と油を混ぜるような領域を選び、さらに医師・占い師という科学と非科学を同時に究めていく仕事は二足の草鞋を履くようなものですが、これが私には天職でした。

　日本の医師は約34万人です。このうち呼吸器内科専門医は約6200名と稀少価値が高く、漢方専門医に至っては2000名しか居りません。占い師の人数を正確にカウントするのは不可能ですが、フェルミ推定を用いて計算すると8000〜15000人程度と考えます。何故そういう計算になるのかって、企業秘密です。

　さて、春は占いの季節ですね。

　もしご興味のある方がいらっしゃいましたら、道案内をさせていただきます。こちらの記事からお入りくださいませ。

　

　拙文に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。願わくは、世界の真理が文系脳な私にも理解できるものでありますように。

#仕事のコツ #続けること
#自己紹介 #僕は物理学が出来ない #はがない
#エッセイ #医師 #占い師
#医者って理系でも文系でもあるけれど
#私は理系の顔した文系です
#パソコン詳しそうって言われるけど全然分かんない
#タイピング速いだけなのにね
#ぼーっとしてると難しい考え事してるみたいに見えるらしい
#人はみかけによらないものだよ #メガネくん