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I’M FLASH 《詩》

「I’M FLASH」

彼女は僕の名前を呼んだ 

確かに彼女の声だった

その言葉は複雑で精巧な

巨大な装置が動かしている

世界の空中に浮かんでいた


僕はその名前を
側からぼんやりと眺めていた


彼女は

僕の名前をもう一度だけ呼んだ

見慣れた辺りの景色の中で
しばらく眠っていた


そんな感覚に包まれて

僕は目を覚ました

全ては夢である事を知った

彼女の柔らかな唇と声は

全世界に対する善意に

満ちている様に見えた  


小さな嫉妬が胸に残っていた 

くだらない


微かな悲しみに似た色彩の漂う雲

彼女は長かった髪を

極端に短く切って微笑んでいた

僕は彼女の名前を呼びかけて止めた

新しいシャツに着替えて

80年代の黒いレスポールを
フェンダーの真空管アンプに繋いだ

その音もやはり

空中にしばらく留まりやがて消えた


孤独が擦り減る時間は心に強い

波紋の残像を映し出し 

あの雲と同化して行った


僕はもう行くよ 

実際に口に出してそう言ってみた

誰に向かって…
僕にもよくわからない誰かにだ

Black Smithの弦を張りながら

I’M FLASHの
メロディラインが繰り返す

気にするなよほんの冗談…

パッと光って消えちまう…

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