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盲目の行進 《詩》
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「盲目の行進」
僕はただの仮説を積み重ねて行く
其処に結論を書き残す必要は無い
風に揺れる木の葉を見て
始めて其処に風がある事を知る
愛と正義の普遍性とか
無秩序で無制限な選択肢とか
ほとんど有効性を持たない名言だとか
正統的な存在意義と価値を与えられ
其れを真から受け入れた者達の
盲目の行進は続く
全ての準備は
水面下で確実に進められている
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理路整然とした回答に皆がうなずき
其の手に銃を握り締める
そして躊躇う事無く断罪する
其れが正義であると誇らしげに
其処には一切の不純物は介在しない
既に巧妙な手口で削除された後だからだ
では其れは本当の意味での
純粋なのだろうか
正義なのだろうか
十字架に磔の
無力な価値観は血の涙を流す
戦争とヒットチャートとが混在しる雑踏
誰もが大義名分を掲げて
匿名を名乗る民が傍観する
意識の森の中で闘い続ける者に
答えなど必要は無い
ただ仮説を積み重ねて行くだけだ
其れを文字に起こし書き残す
其れが僕にとっての闘いだ
貴方は風の色を見た事がありますか
僕の傍を風が吹き抜けてゆく
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