一片の月 《詩》
「一片の月」
何処にも行き場ない
硝子の様な透明に包み込まれていた
空虚な海に君の言葉を探し求めて
小さな光の微粒子が波打ち際に舞う
手を伸ばし
掴もうとしたが溢れ落ちる
そしてまた 僕は手を伸ばす
その光は既に最初の輝きを
失っている事に気がついていた
それを認めたくない僕が居た
全ては無意味で無価値である
そう思いたくなかったからだ
時の洗礼は失望を呼び
僕の書いた言葉は
紙屑となり波間を彷徨う
月夜の浜辺
一片の月
僕はボタンを握りしめ
静かに目を閉じる
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