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風の森と彼方に浮かぶ半月夜 《詩》
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「風の森と彼方に浮かぶ半月夜」
孤独 或いは
無口な漆黒を切り裂く半月夜
月が遠く彼方に浮かぶ時
君は個性と方向性を具えた
存在感のある
文脈を独り立ち上げて行く
僕等は自分自身を守る事に
精一杯だったね
先ず周りの人達の顔色を
伺ってからじゃないと何も出来ない
周りを見て 場の空気を
読んで無難な事を発言する
お前 失礼な奴だ
何様だと思ってるのか とか
そんな風に言われたり
思われたりしたくないからだ
極めて日本人的だ
それが礼儀であると言わんばかりに
そんな事の繰り返し
どうでも良い様な話しばかりが
渦を巻く
変貌の実感は新鮮だ そうだろう
正気の範囲を遥かに超えた拘りとか
揺るぎない率直さと熱意とか
其処には妥協もなく見栄もない
あるものは
その人の持つ絶対的な価値だ
本物の持つ絶対的価値
その価値基準はつまらない
世間常識などに左右される事はない
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根っからの負けず嫌い
君の神経がギリギリと
音を立ててすり減っていく
例えどんな事があったとしても
簡単に尻尾を巻いて
引き下がる様な人ではない事を
知っていた
それこそが君のネイチャーだ
あくまでも通常運転だよ
そう言って君は笑った
僕はいつもこう思う
ほんの少しの間だったけど
君と出逢い話が出来て良かったと
僕自身の内面的な奥深くにある
世界が押し広げられていく
暗闇にある深淵
僅かに直線的な教えに似た
光が射し始めた
変わり続けるよ いつまでだって
同じ場所には居たくない
そう君とよく話していた
青天の霹靂…そんな言葉あるよな
まさか 嘘だろう冗談だろう
キツイ冗談だよな
もう君が居ないなんて
あの日
僕は君の歩き始めた新たな道に
紅い薔薇の花びらを敷き詰めた
迷わず星になれる様にと
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託すよ 此の詩を
天国まで響き渡らせるから
真っ向から今 思いを告げる
もし高く跳べるのであれば
僕は君の為に跳んでみせるさ
僕は風の森から夜空を見上げ
君の星を指差している
もしも
僕の言葉が君に届いたならば
手を振る前に微笑んでくれ
それで充分さ
心の声は鳴り止まず
風の森と彼方に浮かぶ半月夜
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