anarchism -15歳- 《小説》
「anarchism」-15才-
万物を覆う黒い影
僅かに開いた窓からの乾いた風
高い塀で区切られた空間
その入り口には黒い鉄製の門扉
横には「関係者以外の立入は禁止」
そう書かれていた
僕は勇気を出して
此処まで歩いて来たのに
門柱に書かれた言葉が僕を阻害する
紺色の国鉄服に
赤い腕章を付けて叫んでいた
林檎の形をしたギターを見た
まだ15歳だった僕はノートに
anarchismと書き殴っていた
ロータリーを出て左側
二本目の通りの角 鉄骨ビルの三階
自主制作盤と
輸入盤のレコードで溢れた店
其処にしか僕の居場所は無かった
爆裂都市のポスター
店には音質の悪いLive音源
ちょっとの雨ならがまん…
そう繰り返されていた
其処で君に出逢った
メンソールの
洋モクの似合う年上の女だった