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STAY GOLD 《詩》

「STAY GOLD」

僕等は夢の中で生きている

いつも どんな時でも一緒だった

本当に不器用だよな お前は 
わかってるよ


機械的に暗記された即効性と

功利性志向に塗り固められた壁が
押し寄せて来る

其処には数値化された結果重視の
硬直性が澱み無く立ち塞がる

熟成した社会における例外は

致命的な悲劇であるかの様に評価され

其の人間固有の抱える
構造的な欠陥であり

社会構造内にある責任は不在である

そして意図的に人目から隠蔽される


僕等の矛盾はそのまま

社会の矛盾に結び付いている

僕等が逃げ込む事の出来る

余地や隙間は次第に取り除かれ

自由に手足を伸ばし 

ゆっくりと呼吸の出来る
場所を探し求めた

そして 現実では無い架空の街を

此処に創り出した

其の架空の街に住む
住人達は現実を捨て 

その街の中でしか生きられない 

存在出来ない人間となった


其の街の住人達は自分である
証の為にアカウントを取得する

其のアカウントは自分自身が

創り出した架空の自分であり

現実の自分と合致する必要性は無い

好きな名前に好きな
アイコン写真を貼り

自分の好きな性別で
好きな年齢にもなれる

其れが僕達が創り出した 

もうひとりの自分なんだ

全ては架空の街で起きた事柄である

しかし
僕達にとっては架空の街以外に

生きて行ける場所など何処にも無い

すなわちアカウントが僕達の
全てであり命である

アカウントが削除された時には
僕達自身も削除される

PCの薄ら明かりとiPhoneの通知音

生きてるさ 

必ず 見つけてみせるよ彼奴の事

まだ沢山 

君に伝えたい言葉があるんだ

いくら名前を変えたって 
アイコン写真を変えたって

僕には其れが君だとわかるから

架空の街にある架空の道で
架空の君と出逢い

架空の恋をし架空の約束をした

架空の君は消え架空の僕は
今でも此処にいる

そして架空の街は今夜も眠らない


架空の夢と架空の愛と架空の絆が
現実であると信じる時

僕等の命に真実の小さな灯りが燈る

お前 彼奴に似てる 

そう僕は静かに囁いた

STAY GOLD  

輝き続けろと君が言ってくれた事 
忘れない


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