見出し画像

夏のしっぽ 《詩》

「夏のしっぽ」

夏草 蔦の葉 

東に延びる給水塔の影

ひしゃげた自転車 立ち乗り 
君のスカートが揺れている

家にあった花火達

掻き集めて持って来たよ

打ち上げ花火やロケット花火も
まだ残ってる

河川敷 裸足になって膝まで入った 

沢山持ってるよコーラ飴 

溶け始めたシロクマアイス

18時のサイレンが鳴っても
僕等の午後は終わらない

森を見に行こうよ今夜 

知らない道を歩いて

運動靴は風になる あの時 
世界に続く道は真っ直ぐだった

宇宙の壁に張り付いた無数の星に

手を伸ばし1番綺麗な星を盗んで
君に捧げた

トタン屋根のもっと上の方から

満月の匂いがした


有刺鉄線を乗り越えて君と手を繋ぎ

誰も居ない蒼い夜の中で
永遠のキスをした

九月になったばかりの夜空が

ふたりを見ていた

明日もまた会おう 

またひとつ新しい約束を交わし

いつまでも星空を見ながら
夢みたいな事を話していた

あの日 

僕等は夏のしっぽを探していた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?