見出し画像

山羊の歌 《詩》

「山羊の歌」

水晶を噛み砕いた宵 

裁きの雷 光輝の剣


鉛の夜に下僕となりし犬 
纏わりつく気狂い猫


屈辱 腐敗 
嘘で開花する赤い花

愛していたのさ 
言葉はただのゴミ屑


唇を撫でる指先 

光を吸い込み沈みゆく鈍色


溶け堕ちた時間に
垂れ落ちる憎悪に似た愛


瞳を閉じないでくれないか

耳を塞がないでくれないか

惨殺志願の餓鬼苦 


今 記憶は独りで歩き始める


悲鳴をあげる存在理由

喉の奥で溺愛してくれ
欲棒の脈を感じながら


悩殺 廃魚の瞳に再び宿る光と風

支配階級の伝統的思考の元
全ての歴史が作られて行く


滑稽な不協和音 

意志を持たぬ不和雷同

翼をもたぬ背骨 観念の息吹


螺旋雲が滲ませた影 


乱立した棺桶の淵に
したためる山羊の歌

Photo : Seiji Arita

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?