スピード 《詩》
「スピード」
秋が好きだと
そう言っていたね
丁度 去年の10月の始まりあたり
時計の針の音
彼女の最後の言葉
夜に溶けて消えるまで
僕は黙っていた
一度だけ振り返り微笑んだ
君の瞳が全てを語っていた
どおってことないさ
僕は笑顔で見送った
スカして飛ばした夜の高速
踏み込むアクセル
何も見えなくなるくらいの
スピードが欲しいだけ
何処へも辿り着けない
僕を見て星達が笑った
回り始めた世界の片隅で
季節を超えた時の中
確かに君は僕の傍に居た
そして 僕の嫌いな秋が来る