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2024 第8病棟 《詩》

「2024 第8病棟」

2024度目の世界に立ち尽くす僕は

瓦礫に巣を喰う黒鼠の夢を見る

神様どうか御加護を下さい 
救いを下さいと囁きながら

其処に神が居るのなら祈るさ

迷える子羊を助けて下さいと


大地を引き裂いた断末魔 

欲に駆られた灰色の背徳

燻んだ瞳で何を見る

誰一人として聞こうとはしない

隣の人の泣き叫ぶ声

知らぬが仏 
馬鹿が原色を着飾り尻を振る


国際的な都市に流れる

優しさに溢れた
甘ったるいだけの歌に耳を塞ぐ

スラムに響く銃声と散らばる薬

夜に踊るストリッパー 

唇歪めたバッドボーイ

ゴスロリ服に身を包む彼女は

球体関節人形になる夢を見る

僕は黄昏近づく意識の中の丘の上で

小指の隣にあったはずの
6本目の指の事を考えていた


迷彩色で塗られた街で

顔の無い旅人は言う 

緑がかった歪な月を
見たのはいつだったろうか

誰にも認められない世捨て人は笑う 

消えちまおうぜ 消しちまおう


僕は眠れない街の中で眠る

第8病棟の集中治療室で

君の球体関節に

僕の6本目の指先で触れた

静かになどり口付けをした

愛の証を残す様に

2024度目の世界に
色の無い花束を添え 

君の名前を独り呼ぶ


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