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ジョンレノン 《詩》
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目には見えない程の細かな雨
白夜の様な清潔な静寂
何処かしら温かみを欠いた
無機質な風が吹く
誠実な靴音を響かせて歩く人
しかし其れは硬く的確に
不透明を排除する音の様に聴こえた
原色が至る所に塗り付けられた
肖像画は難解では無いが
その絵の意味する事柄が
僕には読み取れない
何ひとつとして
怠りの無い光が床に射し込む
違和感は無いが
匿名性を帯びコンセプトを持たない
人工的で意図的に
作り上げられた光の様に思えた
オーダーメイドのプログラムを
箇条書きにして
優先順位に従いランク付けして行く
既存の時間を引き延ばし
あるいは短縮し効率良く
そうやって導き出した
ビジョンに対して下された言葉は
無能と言う名の烙印だった
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白夜の烙印
其処に属する者と
属さない者との境界線
其れがはっきりと見えた時
目に見える
全ての景色と聴こえて来る全ての
言葉が変わってくる
昏睡から覚醒する様に明確に
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その夜 僕はエピフォン カジノの
サンバースト塗装を剥がした
純粋なメープルボディが現れる
ピックガードを外す
これだろう
これで完璧だろう…
そう 部屋の壁に貼り付けた
ジョンレノンのポスターに囁いた
ジョンレノンとカジノと白夜の烙印
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