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第三世界の七面鳥 《詩》

「第三世界の七面鳥」

太陽が奇妙な世紀末的な紫煙に
包まれている

第三世界の始まりと 紫炎の暴動

僕は貝殻に耳を寄せ

波の音を聴きながら眠る

朝が来たら出かけなくちゃいけない


七面鳥の五つ目の顔は
インテリジェントな眼鏡をかけていて

綺麗に髭を剃り整髪している

ダークな色合いのスーツに
真っ白な襟をしたシャツを着ていた


六つ目の顔はトレーニングウェアを着て

朝の太陽の下でジョギングをする 

其れを毎日のように続けている

サーフシティーに辿り着いた僕は
浜辺にテントを張りキャンプをする

街には戒厳令が発令され 

トレンドに逆行する反逆者と

長髪のサーファー達は淡い失望を
たたえた海を見ながら波を待つ 


ブギーボードを持った子供を連れた家族

日傘を手放さない奥さんは 

砂だけで出来た島が見たいとそう言った

シーフード•カフェと
ベイカリー•ショップがあれば生きていける

そう微笑みながら日傘をクルクルと回す


其の世界には三つの墓地がある

全て色で区別されている 

白色、中間色、黒色、うんざりだろ

だから もう見切りをつけたんだよ

もう直ぐ 

全ては紫炎に包まれ其の紫の煙に支配される

第三世界の始まりだ

七つ目の顔を持た無い七面鳥は僕に囁いた

僕が最初に彼に出会ったのは

車のギアを切り替えて
坂道を登っていた丁度その時だった 

軋むエンジン音と振動の中

一つ目の顔で彼は煙草をふかし
バックシートに座っていた

ルームミラーに映る姿を

はっきりと見たんだ


2つ目の顔で彼女が現れた

府中にある東京刑務所の前で彼女は

頭脳警察のレコードを抱えて僕を待っていた

胸に抱えたレコードジャケットを

誇らしげに僕に見せて

写真を撮って欲しいとそう言った


短く刈り上げたブロンドの髪に迷彩服 

駅前の牛丼屋でたっぷりと
チーズをトッピングした牛丼に

沢山のタバスコを振りかけている彼を見た

まるでピザだな… 僕はそう思って

彼が食事してる様を見ていた

アメリカ人にしては上手く箸を使う男だった

きっと三つ目の顔だと思う


そして僕は七面鳥にすれ違う

妙な顔して

何もかもが違うんだ 俺は行くよ 

もうやらなくちゃいけない

そう小さな声で僕に言う

いったい何をするんだい 

そう聞いた僕に七面鳥は

世界を燃やしてやる 
だけど 其れには代償が付き纏う 

七つ目の顔を神にくれてやる

そう言い残すと僕の前を

走り去って行った 四つ目の顔だ

しばらくして世界は紫の炎と
紫煙に包まれて行った

紫炎の暴動 第三世界の始まりだ

僕は疲れた身体で 

ベッドから抜け出し鏡を見た

鏡に映し出された僕の姿に顔は無かった

もう逆戻りは出来ない

僕は貝殻に耳を寄せてみたが 

波の音は聴こえて来なかった


朝が来る 

もう出かけなくちゃいけない 

彼奴が待っている


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