方舟と幸せの鐘 《詩》
「方舟と幸せの鐘」
心を失くした
深い森の中を彷徨っていた
全ては無音のうちに始まり
邪悪な野獣と
純粋な精霊の吐息を聞いた
不確かな人生の灯りが揺れる
暗い終末の気配を含んだ
湿り気を帯びた風
彼女は方舟…そう一言だけ呟いた
特別な生命の匂いを彼女に感じた
僕等に歌う歌があるとしたなら
僕は漠然とそんな事を考えていた
僕の純粋な仮説が
保留の無い激しい愛を呼ぶ
彼女に深く受け入れられた僕は
これまでに
見た事の無い色合いの光を見た
不均一な時の流れや
視界を奪う混沌は
既に何の意味さえ持たない
僕等は言葉にならない言葉を探して瞳を閉じた
其の全てが僕等には必要だった
瞼を閉じた孤独だった瞳が
青い空の色に染まる
その場所には
幸せと言う名の鐘がある