反社会的文士 《詩》
「反社会的文士」
特に希望も無く絶望も無く
目の前にある景色を見ていた
僕が世界を無視するのと同じ様に
世界もまた
僕を無視し続けている
何も無いところから
架空の物語は生まれる
内的な衝動が形像を
立ち上げて行く
反俗的な理想像
破綻と混沌の中で文学を生み出す
反社会的文士
僕等は意識の足元の深い底にある
寡黙な闇に降りて行く
誰もが其処に混沌を持つ
脈略を欠いた記憶の断片を
拾い上げ言語化して行く
いつかは其の記憶も自然淘汰される
琥珀に沈んだ風と月
不死鳥に手を伸ばした星の影
確かに僕等は此処に居た
行き先も告げず透き通る卯月
僕は今夜も終わりの無い歌を唄う