#13.2 「DXの本質」 雲の中でつくる(クラウド・インテグレーション)
DXにおけるインフラはクラウドファーストで考えるということです。前回は、リフト&シフトという話をしました。
雲の上に持ち上げてしまったら雲の中で作らなければいけません。それが、クラウド・インテグレーションです。
「クラウドサービスのメリットを活かし、変換に柔軟なシステムを構築する 」ということです。
ここで、今一度、クラウドのメリットを再考してみます。大きく2つあります。
1つは、変化への柔軟な対応です。
もう1つが、技術的負債の解消です。
クラウドシフトによる3つのメリットをあげます。
・クラウド化によるコストのシフト
・クラウド化によるガバナンスのシフト
・クラウド化による資産効率性のシフト
クラウド化の恩恵を受け、最適な技術をクラウドサービスで活用しながら、環境の変化に合わせクラウド上でシステムを構築していく手法が、クラウドインテクレーションです。
クラウドインテグレーションにおけるポイントは、マイクロサービス化とAPIマネジメントにあります。
DXにおけるクラウドインテグレーションの方法としては、「競争領域」と「非競争領域」のドメイン分割とそれに伴うAPIの連携がポイントであります。技術的には、AIやIoTという華々しい技術にいきなり手をつけるのではなく、ドメインの分割とマイクロサービス化とAPIの基盤を作ることです。AIやIoTは、APIでつないで、必要に応じてクラウドサービスを活用すれば良いのです。
UI/UXの開発方法もこれを機に変えていくべきです。最高のUXを提供します。
最高の経験価値を提供するために、ユーザインターフェース(UI)のあり方も変える必要があります。オブジェクト指向UIデザインへのシフトです。タスク指向のUI/UXからオブジェクト指向のUI/UXへのシフトによる劇的な業務効率化、拡張性、操作性の向上です。
さらに、変化が激しい状況において、開発の方法も変えていく必要があります。アジャイル開発の実践です。すでに、アジャイル開発も一般的になってはきていますが、その本質をキチンと理解して、アジャイル開発を行っているプロジェクトは、そう多くないように思えます。アジャイルは、ただ単に繰り返すことが目的ではありません。
アジャイルの本当の目的は、目的(Why)の共有です(Goal Share)。
その目的自体も時として変化していきます。そのために、多くのコミュニケーションをとるという手法がアジャイルです。
変化することを前提に、変化に対応し、業務改革を行いながらビジネスに本当に必要なものを作り上げて行くのです。
そこで、重要となる思考法が「目的思考」であり、「未来思考」です。
アジャイル開発において、一般的で具体的な方法論が、「SCRUM」です。
このように、クラウドシフトを進めていくことが「DX」の第一歩でもあります。
ここに、クラウドインテグレーションのポイントをまとめておきます。
・持ち上げて、ズラす(LIFT&SHIFT)
・競争領域と非競争領域のドメインを分割する
・分割したドメインの中で、マイクロサービス化する(機能単位でマイクロサービスするのではなく、変化の領域を意識する)
・マイクロサービス化されたモジュールをAPIで繋ぐ環境を構築する
・UX/UIをより顧客主導で考える、オブジェクト指向UIへのシフト
・上記のような開発プロセスを、目的を共有しながらアジャイルで進める
・最後になったが、クラウドサービスで使える機能は活用する
以上を踏まえ、雲の中で作る(クラウド・インテグレーション)ということです。