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違法の冷蔵庫

魔法のランプなどあるものかと冷やかしがてら骨董屋に入ってみた。
黒猫を抱きかかえ背中をなぜなぜしながら店長らしい女性がでてきた。
「魔法のランプありますか?」と尋ねた。
「あなたが探しているのは、絵にかいたようなアラビア製の魔法のランプでしょうか、それとも魔法使いジーニーが出てくる本物?」
「本物の魔法のランプです」
「本物の魔法のランプはないのですが、魔法使いが出てくる冷蔵庫ならございます」
「面白い、それを頂きたい」
「わかりました、お代はこのようになっています」。と女性が金額を書いた紙を私に渡した。
その紙に書かれてある金額は妥当なものだった。
その裏に領収書はお渡しできませんと書いてあった。
「領収書が出せない。怪しい。何か悪いことをして手に入れた違法の冷蔵庫なのでは。そんなものを買うわけにはいかない」
「領収書?またジーニーのいたずら。もっとスリムになればジーニーも元のランプの中でゆっくりできるのに」

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