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「布団の中のアーティスト Vol.27」を振り返る


・序章

9月6日に神奈川県茅ケ崎市にあるバー「茅ケ崎 Login(@Login_Chigasaki)」にてイベント
「布団の中のアーティスト」が開催され私も出演する機会を頂きました。
※「布団の中のアーティスト」というイベントについて興味が湧いた方は
      主催者の哲生(@tetsuo040500さんのブログをご覧になってくだい。
    “布団の中のアーティスト”って何?

・2年前の雪辱を果たしたい

私はこれまでに4回「布団の中のアーティスト」に出演しております。
前回の出演は2年前の2022年に開催された「布団の中のアーティスト Vol.20」でした。

前回出演したときの演奏は散々でした。
自宅とは違う慣れない環境に適応できず、演奏中は観客の反応につられて
自分のペースを乱してしまいミスを連発しました。演奏終了後は激しく
自己嫌悪して立ち直れませんでした。

演奏終了直後に感じた自己嫌悪も時が経つと次第に治まりましたが、
頭の片隅にはこのとき失敗した経験の記憶がこびりついていました。
失敗した過去を払拭して再出発がしたい私は機会を伺っていました。
前回の出演から2年後の2024年、雪辱を果たす機会が来ました。

・失敗を繰り返したくないので入念に準備をする

今回の「布団の中のアーティスト Vol.27」の出演が決まってから
私は入念な準備をしました。

一つ目は、人前で演奏することに慣れるためライブハウスにて
演奏する機会を増やしました。
他人の存在に惑わされず自分のペースで演奏できるようになることを
目指しました。またこのライブハウスの演奏では失敗しても構わないが、
何故失敗するのかその原因を探り解決策を模索することを目的としました。

二つ目は、メンタルトレーニングを取り入れました。
noteでアーティストメンタルサポーター山口美智代 様のことを知ったので
連絡を取り、イベント開催の一か月前から指導の下メンタルトレーニングを行いました。
今のやり方を続けていてはまた同じ失敗を繰り返すかもしれない、
これまでとは違うこともやらないといけないと考え演奏の練習の他に
メンタルトレーニングを取り入れることにしました。

メンタルトレーニングについて当初は半信半疑でした。
ライブハウスでの演奏中に教えていただいたリラックス法など
メンタルを安定させる方法を試しましたが、
最初は効果を感じられませんでした。
ライブハウスでの演奏を繰り返し、その度教えていただいたリラックス法
などを行っていたら少しずつ効果が現れました。

・変化したことは演奏に臨む姿勢、スポーツ選手を参考にする

メンタルトレーニングを取り入れてから一番変わったことは
演奏に臨む姿勢でした。

ライブハウスでの演奏中に自宅で練習するときはノーミスで演奏できる曲をミスしました。その時に、

「自分はこれまでほぼ毎日練習して練習では完璧に演奏できるのに
ライブでは必ずミスをする。ライブで完璧に演奏するなんて
自分には無理なのではないか」

という結論に至りました。

これを機に練習方法を改めました。
これまでは練習中にミスしてしまうとそこで演奏を止めてミスした箇所から再び演奏するという練習を主に行っていました。
これを改め練習でも演奏中はミスをしても中断しないで最後まで演奏する
という方法に変えました。
ミスした後どうように挽回するのかということを
想定するようになりました。参考になったのはフィギュアスケートです。

フィギュアスケートでは選手が競技中に回転しながらジャンプをした後、
着氷に失敗して転倒することがあります。
選手は転倒しても何事もなかったように立ち上がり競技を続け、
競技終了後はこれまた何事もなかったように観客に向けて
明るく笑顔で対応します。
フィギュアスケートの選手の競技中の振る舞いを見習うことにしました。

そして私が最もお手本にしたのは野球のピッチャーの姿勢でした。
メンタルトレーニングを行っている期間中に夏の全国高校野球選手権が
開催されていました。私はテレビで試合を眺めていたとき気が付きました。

「甲子園に出場する高校の野球部員たちは3年間ほぼ毎日練習してきた。
3年間ほぼ毎日、一日に何時間も練習してきたエリートである彼らでさえ
試合ではミスしてしまうことがある。

野手は攻撃時に三振または凡打をすればアウトだ。
守備時は相手打者の打球を落球するばエラーとなり、
そのエラーが試合の勝敗を分けることもある。
野手以上に過酷なのはピッチャーだ。

甲子園に出場する高校のピッチャーは皆優秀だ。そんな優秀な彼らでも
試合ではヒットを打たれるし、打たれ続ければ失点してしまうのだから
ミスは当たり前に起こることなのだ。

肝心なのはミスをした後だ。
失投してヒットを打たれ塁上にランナーを出しても後続のバッターに打たれなければいい、要は失点しなければいいのだ。仮に失点したとしても最少
失点に抑えればいい、3アウト取るまで投げればいい、自分の役目を果たすことが肝心なのだ」

・9回まで投げろ

私がバンド活動を行っていた頃、バイト先の先輩が毎回ライブを
観てくれました。
その先輩は野球が大好きで物事の全てを野球に例えて話す人でした。

数年間のバンド活動で何度目かのライブの後、ライブを観た先輩が
私に助言したことがありました。

「あなたが常に完璧な演奏を目指しているのは良くわかる。
だが演奏中に一度ミスをすると集中力が途切れ、ミスした後悔を
引きずり続けて立ち直れないままライブが終わるという状況を何度も
見てきました。

野球に例えるなら、あなたはピッチャーで毎試合完全試合を目指して
登板しますが、毎回ヒットを打たれて一度ヒットを打たれると立て続けてにヒットを打たれて失点してしまい、ヒットを打たれた後悔を引きずって
立ち直れないまま途中降板している、といった感じです。

完全試合なんて目指さなくていい。
ヒットを打たれてもいい、失点してもいい、9回まで投げなさい」





数十年前の記憶でうろ覚えですがだいたいこのような内容でした。
話し口調も強かったと思います。
これを言われた直後は、
「この人は何を言っているんだ?」
と呆気にとられましたが今ならこの例え話の意味がわかります。

私に必要なのは失敗を恐れないこと、失敗してもすぐ立ち上がり
勇気を奮い起こして最後までやり遂げる姿勢だったのです。

・本番当日、出演前の様子

ライブハウスでの予行練習とメンタルトレーニングを計画通りに実行して
本番当日を迎えました。

2年前の前回とは会場は違いましたが過去の「布団の中のアーティスト」で出演したことがある会場だったのでスタッフとは顔馴染みでした。
またイベント開催中の会場の雰囲気やイベントに来る観客層も過去に
出演したときの経験から大体把握できました。

本番前には十分にリハーサルを行うことができました
(時間をオーバーして主催者様に注意されてしまいました。
あの時は申し訳ございませんでした)。

タイムテーブルでは自分の演奏時間は10分ということでした。
10分の演奏時間内にイベントのテーマに沿ったインタビューをしたいということで演奏できる曲は一曲しかできないと判断しました。
しかし逆にこの一曲に自分の全てを賭けるという気持ちが湧いてきて
集中力が高まったような気がしました。

・いざ本番、演奏中の様子

いざ本番、この日に備えてメンタルトレーニングを行ったものの
現実に人前に立つとやはり緊張しました。
緊張してはいましたが、そんな緊張する自分を観察しているもう一人の自分がいました。そのもう一人の自分が「肩の力を抜け」と心の中で助言して
くれました。

【撮影:KadeMimi♪ 様(@kade60842)】

私は肩を含めた全身の力を抜いて、右手の指先にだけ意識を集中して
ベースの弦を押さえ、一つ一つの音に自分の想いを込めるような気持ちで
左手に持ったピックで弦を弾きました。その後は無我夢中でした。
演奏中は曲の合間に「ここは集中しろ、ここは力を抜け」ともう一人の自分が心の中に声をかけることで集中力が保てたような気がします。

【撮影:石黒芳樹 様(@baronpowerman)】

・本番終了、結果は?

演奏は無事終了。結果は自分史上最高の演奏ができました。
再び野球のピッチャーに例えるならばノーヒットノーランに例えられる
快挙でした。

完全試合ではなくノーヒットノーランに例えたのは演奏中一度だけ
ミスしたからです。でもこれは自分を許せるミスでした。
演奏を観察していたもう一人の自分というスコアラーは、
私の失投(ミス)はヒットではなくエラーだと判断したので
完全試合ではなくノーヒットノーランに例えました。

野球の例えはさておき、
私にとっては自分史上初の快挙で最高の結果でした。
練習の成果が発揮できて良かったです。
演奏終了後は今まで感じたことがない達成感を感じてとても満足しました。

・四つの要因と今後の課題

今回の「布団の中のアーティスト Vol.27」において
前回2年前に出演した「布団の中のアーティスト Vol.20」での
雪辱を果たすことができました。

雪辱を果たすことができた大きな要因は、
①時間をかけて入念に準備したこと
②トレーニング中に自分の意識が変わったこと
③本番の演奏時間が短く一曲だけの演奏だったので集中力を維持できたこと
④演奏中にミスをしても慌てず冷静に対処できた自分を許せたことで、
    後悔を引きずらないで終了まで演奏できたこと

この四つが要因だと思います。

今後の課題としては、
演奏時間が長く曲数が増えた状況でも緊張を和らげ、集中力を保ち、
周囲の反応に惑わされず冷静に演奏できるか?
ということです。

今回の経験を基にした準備を今後も引き続き行えば
他のライブでも十分に対応できるのではないかと考えていますが、
どうなるかはわかりませんというのが本音です。

・終章

今回の貴重な体験を忘れずに今後の指針にしたいという思いから
このnoteを綴りました。
私は凡庸なのでこれからも多くの失敗と僅かな成功を繰り返して
藻掻きながら音楽活動を続けていくでしょう。

以上、「布団の中のアーティスト Vol.27 を振り返る」でした。















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