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ドライフラワーと南インド家庭料理

中途半端に時間が空いたので、南インド家庭料理のお店で、お昼ご飯を食べました。
昨年できたばかりの小さなお店です。

商店街から住宅街に入るところ、ちょっと隠れた、目立たない場所にあります。
上品なマダムがおひとりでなさっておいでで、基本、ランチ。
夜のめんどうくさい客を想えば、「基本、ランチ」は正解。

店内には、年季の入ったテーブルが、「わざと」雑然と置かれています。
椅子はどれもこれもバラバラ。
ところどころ塗装が剥げた、背の高い外套かけ。
でも埃も塵もありません。綺麗なものです。
うっすらと緑色をしたグラスに、お水が注がれ、運ばれてきました。
麻のカーテン越しの光がグラスに反射して、やわらかな緑の影をつくっています。
ちょこんと座れば、目に付くのは数々のドライフラワー。
ある種のワビサビとこだわりを感じます。
落ち着く。そしてなんだか懐かしい。

お料理はやさしいお味。
お野菜と香辛料が気持ちよく身体を癒してくれるのを感じます。
ひとつひとつ手が込んでいるのだけれども、その手の込みようがちゃんとわかるところが、家庭料理ぽくて、良いのです。

なんだか最近、この手のお店、しばしば見かけます。
つまり推定年齢40代から50代のマダムがおひとりで切り盛りなさっていらっしゃっる、ちょっと手の込んだ、イタリアンにせよ和食にせよ、家庭料理のお店。
小綺麗で可愛くて友愛に満ちているお店。でもポップじゃあなくて、静かな雰囲気。マダムの経験値が感じられる空間と味。けど決して完成して満足しているのではなく、常に進化しつづけている感じ。

美味しい。
つぶれないでほしい。
経営、がんばれ。
がんばれ、かつてのクラリス(『ルパン三世カリオストロの城』参照)。
「おじさま」の僕は、何かお手伝いをしたいけど、何もできないから、ただ足繁く通っておとなしく御馳走になるのが、おそらく身のほどをわきまえた所作。

女の人はいいな。ドライフラワーになってひとを楽しませられるんだもの。
僕は道に吹かれる枯葉。ちりとりに入れられ捨てられる。
C'est une chanson qui nous ressemble ♪

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