【雑文】おじいさんのおまわりさんに生理用品の銘柄を言わせたくなった話。（「神は細部に宿る」ってことを書きたかったの）

1年くらい前だったか、小物入れを駅のトイレに忘れた。
友達からもらった、煙草入れくらいのサイズのビニール製で、生理用品入れにしていた。
帰宅してから気づき、駅の改札に届けられているかもしれないと思いつつ、駅のトイレ個室内に忘れられた煙草入れサイズのビニール製の小物入れって、明らかに「生理用品が入ってます」と丸わかりだから、ちょっと恥ずかしいなと思い、回収を諦めていた。

…ものの、その小物入れをくれた友達から、購入元のネットショップが諸般の事情で閉鎖になったと聞かされた。
もう同じものがどこにも売っていないと知った途端に、がぜん惜しくなり、駅の改札に訊きに行った。
それが、忘れて2週間後くらい。

駅員さんによると、「小物入れが届けられたかは不明ですが、駅に届けられた忘れ物はすべて、一定期間を置いて持ち主が現れなければ警察に届けています」とのこと。
すでにその一定期間を過ぎていた。

駅のすぐそばの交番に訊きに行く。
おじいさんのおまわりさんが1人で居た。

私「○月○日の夜に、駅のトイレに小物入れを忘れたんですけど」
おまわりさん「どんな？」

わたし、小物入れの外見的特徴を伝える。

おまわりさん「中に何か入ってた？」
私「（ちょっと恥かしいけど仕方ない）えっと、生理用品なんですけど」
おまわりさん「個数は？」
私「覚えてません。1、2個だと思いますけど」
おまわりさん「銘柄はわかる？」
私「えっ、それも覚えてません…」
おまわりさん「○月○日の忘れ物は、もうここにないから、本部に聞いてみるね。まずこれに記入して」

私、届出書類に記入。中身が生理用品であることも記入。

おまわりさん、電話をかける。

おまわりさん「○○交番です。○月○日以降の忘れ物の問い合わせです。品物は小物入れ」

小物入れの外見的特徴を、私が話したまんま相手に伝えるおまわりさん。

私「（まさか、中身の話も？）」
おまわりさん「中身は生理用品。個数は不明。銘柄も不明」
私「（これ、私がチャームナップミニですって言ってたら、このおまわりさんは「銘柄はチャームナップミニ」って言ってたんだろうか？言ってたんだろうな。大真面目に「銘柄はチャームナップミニ」って言うところ聞いてみたい気もするから、「チャームナップミニが入ってました」って言っとけばよかったかもしれない。でも、もし小物入れが本部に届けられていて、中身がロリエだったら、「じゃあ違いますね」ってことになって、返してもらえないかもしれないから、ダメか）」

なんて考えながら、電話のやりとりを聞いていたけれど、結局、該当する小物入れは届けられておらず。

たったそれだけの出来事だったのだけど。

コロナ禍で、こういう、なんていうか‟大した事件ではないけれど、ちょっと変なこと”を偶発的に体験する機会が減ってしまったことが、シナリオ書きを目指す身にとっては致命的な痛手であると思うのだ。

だって、それなりの大した事件や、中くらいの事件だったら、ネットや本で、見つけようと思えば見つけられる。いくらでも。
けど、「生理用品を入れた小物入れを失くして、交番に行ったら、銘柄まで聞かれました。おじいさんのおまわりさんが、電話で復唱してました」なんて、些細過ぎて、わざわざ誰も表に出さないから。

生理用品が入った小物入れをなくして警察に問い合わせたら、銘柄まで訊かれること。
担当のおまわりさんが、電話でその銘柄を復唱すること。
ましてや、銘柄不明と伝えたものの、「おまわりさんがチャームナップミニって言うの聞きたいから、チャームナップミニって言っとけばよかったな」なんて思考が頭に浮かぶこと。

そういうことはぜんぶ、当事者以外にはまず、わからない。あと、この記事を読んだ人以外には（それとも、もしかしてどこかには公表されていることなのかな？「警察24時」辺りで。ま、ないと思って話を進める）。

オンラインでどれだけ人と積極的にコミュニケーションを取ったとしても、わからないでしょ？
出掛けなきゃ、駅のトイレに忘れ物しないから。

だから、平時通りとはいかないにしても、やっぱり、出掛けられるだけ出掛けようと思う。

私には必要なことだもの。

体験した本人すら外に発信する必要性を感じないような個人的な体験が編みこまれてこそ、ドラマは立体的に立ち上がってくるのだもの。でしょ？