桜木紫乃さん『傑作』!
桜木紫乃さんの新作を読了した。
『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』という長いタイトルだが
主な登場人物を網羅したものだ。
通読しただけなのでとても『作品批評』は書けぬ。
ただ桜木紫乃さんのほとんどを読んだ私にとってこれは『傑作』
『令和の傑作』と確信した。
本の帯に『どん底だって、笑って生きていく。
切なくて暖かい、人間讃歌。』とあるがまさに『その切なさを暖かく』感じた。人は誰も『寂しくて』『切なくて』だから『人恋しい』
『哀愁』でもなく、そう『哀切』かもしれない。
桜木さんの作品は『何かが起きそうで必ず何かが起こる』という特徴があるがこの作品でも様々なことが『さりげなく』起こった。
この作品は4人の人間模様を描きながらそれこそさりげなく
『キャバレー感』『水商売感』『キャバレー司会の極意ポイント』を提示してくれ、時にそれは『タレント論』であったり味わい深い『芸談』にもなっていた。
司会の端くれの私には大いに参考になった。あんな『司会の仕事』がしてみたくもあった。『ドサ回りの旅』は嫌いではない。
物語は主として『昭和の時代』ラストシーンで少々の『平成時代』。連載されたのは『小説野性時代』に昨年『令和2年の一年間』。
読み進むにつれ『4人の主人公達の人生』と別れ難くなっていった。
最後のあたりで主人公の『俺とマジシャンの師匠』が再登場するが、残る二人の『ソコ・シャネルさんとフラワーひとみさん』の『あれからの人生』が知りたいと思った。
予感だが『その後の4人の物語』が『綴られる』やもしれぬ。
期待とともに!
祈る思いで!