「正調粕取ジン」プロジェクト(序章①:正調粕取焼酎への和ボタニカル浸漬実験)
Twitterアカウント「正調粕取.net」にて、今月から不定期のニュース投稿を始めました。
この実験記事は、上記2番目の「東京リバーサイド蒸留所」にインスパイアされたものです。
1.事のはじまり
東京リバーサイド蒸留所では、酒粕を蒸留し、そこに各種ボタニカルの風味を加えたジンを製造することになっています。
マスターディステラーの山口さんから伺ったところによると、ベースのスピリッツは「吟醸醪粕取焼酎」だそうです。
そこで、ふと思い立ちました。
吟醸醪粕取焼酎ベースのジンがあるというならば…
「正調粕取焼酎ベースのジン」があっても良いのではないか?
さらに考えを巡らせ、また一つアイディアが浮かびました。
ジンをジンたらしめているものと言えば、ジュニパーベリー…
正調粕取焼酎を正調たらしめているものと言えば、籾殻の風味…
既にキーボタニカルとして「籾殻」が含まれている…
それならば、「ジン」ではなく独自のフレーバードスピリッツを目指すべきではないか?
これで方向性は決まりました。
(仮称)「正調印爽味混成酒」
・正調粕取焼酎をベースとして、
・そこに和のボタニカルを加え、
・独自のフレーバードスピリッツの作成を試みる。
世界中の蒸留酒に勝るとも劣らない個性を持つ正調粕取焼酎が、ボタニカルとの出会いによってどのように変化するのでしょうか。
さっそく実験の開始です。
2.正調粕取焼酎&ボタニカル選定と浸漬(2021.2.11)
ベースとなる正調粕取焼酎は、酒持田本店の「ヤマサンのかほり35度」を選びました。
「ヤマサンのかほり35度」の選定理由
・正調らしい籾殻香の強さ
・味わいの素直さ(熟成香などの少なさ)
・アルコール度数の高さ
・入手の容易さ(蔵元ネットショップで購入可)
ボタニカルは、自宅のストック又は近所に売っているものから、キンカン、ショウガ、山椒、唐辛子、緑茶の5種類を選定。
なるべく早く成分を抽出するため、これらのボタニカルを約100ミリリットルの小型容器に浸漬しました。
①キンカン
様々なフレーバードスピリッツにおいて、爽やかさを演出するうえで欠かせないのが柑橘類です。
国産ジンでは柚子が良く使われるのですが、たまたま近所のスーパー等で柚子が品切れだったので、今回はキンカンを選びました。
②ショウガ
国産ジンの定番ボタニカルの一つです。
土臭さによる籾殻の調和と、爽快感の付与に期待します。
③実山椒
自宅の冷凍庫にストックされていた冷凍の実山椒です。
私自身が大好物だということもあって、これは何とか選考を通過してほしいところ。
④唐辛子
強烈な辛味が、籾殻の重たい香りを緩和する役割を果たす可能性があると考え、選んでみました。
⑤緑茶
国産ジンの定番ボタニカルの一つです。
籾殻由来の苦味と喧嘩しないかどうか気がかりですが、思いもよらぬケミストリーが起こるかもしれません。
3.テイスティング(2021.2.16)
浸漬から丸5日後のテイスティングです。
素材の色、香りがかなり抽出されています。
味の方はどうでしょうか?
①キンカン
え…何これ…美味い!?
キンカンの優しい甘みが正調粕取に加わって、籾殻風味を優しく包み込んでいる感じです。
いかにも柑橘!という感じではありませんが、キンカンの穏やかな個性が生きています。
②ショウガ
お…これも…美味い!?
正調粕取の籾殻風味とショウガの土臭さが見事に融合しています。
後口の生姜の辛味も良い感じです。
③実山椒
香りはとても爽やか。
口に含むと強烈な実山椒の刺激が籾殻風味を圧倒します。
単体だとキツイですが、少量ブレンドすることで爽快感を与えてくれそうです。
④唐辛子
か…辛い!ゲフンゲフン!!!
これは本物の辛口酒。。。
面白いのですが、使いこなすのが難しそうです。。。
⑤緑茶
いいですねー。実に良い。
お茶の苦味+爽やかさによって、正調粕取がもともと持っている甘味が増幅されます。
好みは分れそうですが、ブレンド要員として良い仕事をしてくれそうな感じです。
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想像以上に面白い結果で驚きました。
正調粕取の籾殻風味が他の素材と喧嘩すると思いきや、全然そんなこともなく、逆に馴染んでいるケースすらありました。
以上の結果を踏まえて、「キンカン4、ショウガ3、実山椒1、緑茶1」という比率でブレンドしてみたところ、とても良いバランスになりました。
課題を挙げるとすれば、以下の2点です。
・ダイダイ、ショウガのエキスが十分に抽出されていない。
(浸漬時間を伸ばす方が良さそう)
・ダイダイ以外に柚子も試してみたい。
この結果を踏まえ、今後の展開をじっくり考えて行きたいと思います。
(続く)
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