「正調粕取ジン」プロジェクト(序章②:正調粕取焼酎と和ジンのブレンド実験)
実験シリーズの第二回をお送りします。
1.実験の着想
前回の実験では、正調粕取焼酎に様々な和のボタニカルを浸漬し、その相性を探っていきました。
その結果として、正調粕取焼酎の香味が、思いのほか多様なボタニカルと調和することが分かりました。
さて、次の実験をどうしたものか。。。
複数のボタニカルをブレンドしようか、それとも、正調粕取の色々な銘柄で遊んでみようか。。。
早くも迷走しそうな雰囲気でしたが、思わぬところで素晴らしいヒント(というか、答え?)に出合いました。
そこは、新橋の「大人の秘密基地」。
都内での仕事帰り、久しぶりに新橋のバー「玉箒」に顔を出し、寛いで色々なお酒を楽しみつつ、中川さん(マスター)に実験のことを話しました。
暫し思案したマスターは、持ち前の美声で「正調粕取焼酎とジンをブレンドしたらどうなるんでしょうかね?」と語り、その場で試してくれたのです。
それまで「正調粕取焼酎とジンは合わない」と思い込んでいましたが、このブレンドを飲んでみて、正調粕取焼酎の個性(籾殻)はジンの個性(ジュニパーベリー)とも共存するかもしれないと感じました。
そうとなれば、遠慮なくアイディアをパクらせて頂きましょう。
第2回のテーマは「正調粕取焼酎とジンのブレンド」に決定です。
2.ブレンド素材の選定
最初に、ブレンド素材の選定から。
正調粕取焼酎は、米田酒造の「七寳35度」。
前回の実験では「ヤマサンのかほり」を使用していましたが、残量が少ないということで、同じ地域(島根県)&近い味わいの「七寶」を採用しました。
一方の和ジンは、これまで飲んだことがあり、特性を把握しているものの中から、以下の6種を選びました。
・バランス型ジン①:ROKU(SUNTORY)
・バランス型ジン②:季の美(京都蒸留所)
・柚子特化ジン:油津吟(京屋酒造)
・お茶特化ジン:季のTEA(京都蒸留所)
・生姜特化ジン:LAST EPISODE 0 -MODEST-(The Ethical Spirits & Co.)
・山椒特化ジン:赤屋根 山椒(佐多宗二商店)
3.バランス型ジンとのブレンド
最初に、「ROKU」を使ってブレンド比率を検討します。
・正調粕取:ROKU=1:1 →ほぼジン
・正調粕取:ROKU=2:1 →籾殻が後口にほんのり
・正調粕取:ROKU=3:1 →ボタニカルと籾殻が両立
・正調粕取:ROKU=4:1 →籾殻強め(特に後口)
以上を踏まえ、ブレンド比率は「正調粕取:ジン=3:1」に決定。
ちなみに、「ROKU」とのブレンドは、籾殻が最初からボタニカルの一つとして加わっているかのような「素直」な印象です。
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続いて「季の美」とのブレンド。
あー、これは面白い。ベース部分の甘味が印象的です。
「季の美」のベースである米スピリッツの風味が、焼酎の甘味と融合して高め合い、その上でボタニカルが香る感じです。
「ROKU」と「季の美」はともに複数のボタニカルを用いたバランス系のジンであり、お茶・柚子・山椒など共通の原材料もあります。
それが、正調粕取焼酎とブレンドしてみると、「ROKU」は焼酎に香りを付加する感じ、「季の美」はベーススピリッツを介して融合する感じで、だいぶ印象が異なります。
これは、、、楽しい!
4.特化型ジンとのブレンド
ここからは、ボタニカル特化型のジンの出番です。
まずは柚子を使った「油津吟」。
これは分かりやすく柚子+籾殻。
ベースの芋焼酎の甘さも良い感じで融合しています。
「気の置けない友人同士」という印象。
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続いて、お茶のジン「季のTEA」。
お茶のほろ苦い香りと籾殻の香ばしさが融合し、甘さを引き立てる感じがあります。
ちょっと薬草酒的な趣を感じます。
「相性抜群のビジネスパートナー」という印象。
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さらに、生姜の香りを中心とした「LAST EPISODE 0 -MODEST-」。
前回の浸漬実験の時も感じたのですが、生姜は籾殻を飲み込みます。
全体としては美味しいのですが、正調粕取の立場からは若干の物足りなさがあります。
「仲良しの家族」という印象。
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最後に「赤屋根 山椒ジン」。
これは分かりやすい。正調粕取焼酎に山椒を加えた味わいです(そのままやんけ…)。
このジンは単独だとホワイトチョコレートのような独特の甘い香りがあるのですが、ブレンドによって消えてしまいました。
「軽い世間話を交わす程度のご近所どうし」という印象。
5.おわりに
以上の実験によって、正調粕取の籾殻の香りは、ジンのジュニパーベリーの香りと調和することを実感できました。
また、その他のボタニカルとの組み合わせでは、籾殻とお茶との個性のぶつかり合い、籾殻と柚子との共存がとても印象に残りました。
さて、ここからどう広げていきましょうか。
相変わらずノープランですが、「正調印爽味混成酒」の完成に向けて、まだまだ実験を続けて行きます。
第三回でお会いしましょう。
(続く)
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