第551回【筋トレ日誌 その他日々是】542(2022/11/14)▲▲▲旅することへの憧れにまた火を付けられた▲
沢木耕太郎さんの新著
『天路の旅人』を読み進めている。
先日、
どうしてもすぐに読みたい衝動に駆られ
Amazonとメルカリで値段爆上がりの
月刊新潮の中古を購入した(増刷されていないので)のだが、
単行本も発売されていたことを知り
ガックシしてしまった。
(多分単行本も買ってしまう気がするけど・・・)
本作品は
沢木耕太郎 構想25年
『深夜特急』の再来、などと宣伝されているが、
深夜特急のような自由の時代の話ではなく
第二次世界大戦時に
中国の奥地まで密偵として潜入した
西川一三の足跡を追うノンフィクションである。
西川は
今ほどの情報などまだ無かった時代に、
中国の奥地(内モンゴル地区)まで
興味関心の赴くままに突き進んでいった、
ある意味好奇心の塊で生きていた人間。
密偵である以上
日本軍が負けた時点で
その旅を止めてもよさそうなものだが、
戦争後も旅を続ける姿に
恐らく旅好きは魅了されてしまう。
放浪に必要なものは
金より言葉だ、
と言わしめる執念のようなものに
憧れのような恐怖のようなものを感じる。
私は沢木さんや西川ほどの
ひり付くような冷や汗をかくような旅は
まだ経験できていないが、
予定調和ではない極限のところで
進むか退くかを迫られる旅。
死ぬまでに経験はしてみたい。
ところで、
私はかつて沢木さんの『春に散る』刊行記念の
講演会に参加した際に
書籍にサインを頂いたことがあるのだが、
その際に沢木さんが書いてくださったのが
『天路を歩む』という一言である。
その時はその足で
香港へ飛び立つ直前だったので
旅への餞のように感じたのだが、
旅とは困難に立ち向かうこと、
という意で書いて頂けたのかもしれない
と今更ながらに思い出したのでもある。