
奈良で発見!極上の現代アート
休日のGoogle検索履歴を辿ると、
「穴場スポット」「B級スポット」「変なスポット」
「美術館 穴場」・・・と出てくる。
私はいつも、心が震える場所やモノを探してる。
とはいえ、B級スポットラバーというわけでもなく、
歴史や神話、アート、伝統工芸、変なものなど、
比較的興味の対象はボーダーレスで感覚的。
今日は、そんな私のアンテナに引っかかった、
素敵な奈良の私立美術館をご紹介します。
私立(私設)美術館ってなーに?
今回ご紹介するのは、奈良にある私立美術館です。
そもそも、私立(私設)美術館ってご存知ですか?
運営主体が国や都道府県、市町村など公立機関なのが
公立美術館。例えば、東京国立近代美術館や
大阪の中之島美術館などがこれにあたります。
これにに対して、私立美術館は個人、企業、財団法人
などの民間団体が運営してます。
大塚国際美術館、ポーラ美術館、根津美術館、
私の大好きな江之浦測候所も私立美術館です。
ちなみに私の中でダントツNo1の私立美術館は、
品川にあった原美術館です。(Arcじゃない方です)
残念ながら2020年に閉館してしまいましたが、
私の中で不動の1位でございます。
素晴らしいコレクションはもちろんですが、
建築が大変に素晴らしく(渡辺仁建築)、この空間に
いるだけで幸せを感じられる場所でした。
もともとは、実業家原邦造の邸宅だった建物を、
1979年に原美術館として開館。
閉館のニュースは、日本中のファンが悲しみました。
山の辺の道にある、喜多美術館


本題に入ります。
奈良にもあるんです、小さな私立美術館。
奈良県桜井市にある「喜多美術館」といいます。
日本屈指のパワースポット大神神社から徒歩7分。
規模としては個人美術館くらいですが、
この美術館創設者である、喜多才治郎氏の
個人コレクションを展示しています。
入り口で緑のスリッパに履き替え、
少し公民館味のある雰囲気の建物内へ。
だけど、あなどることなかれ…
収蔵コレクションは、なかなかにすごいんです!
ゴッホ、ピカソ、ルノワールなどの印象派や、
アンディ・ウォーホルや荒川修作、ヨーゼフボイス、
ジム・ダインなど、ポップアートや現代アート作品も
多数展示されてました。
当たり前ですが、作品は、もちろんどれも本物です!
そのほとんどが、喜多美術館を創設した
喜多才治郎氏が、クリスティーズやサザビーズなど
アートマーケットで落札したものだそうです。
(下記写真は撮影許可をいただき掲載しています)




奈良にもいたんだね、グルスキー。
特に収蔵されてる写真作品群は、
わたしの好みど真ん中。
まず衝撃を受けたのはアンドレアス・グルスキー!
2013年に国立国際美術館で見たっきりです。
まさか、奈良でアンドレアス・グルスキーに
会えるなんて。奈良にいたんだねぇ。
知らない人はこちらを読んで下さいね。
アンドレアスグルスキー
現代ドイツ写真を代表するアーティストの一人。デュッセルドルフ芸術アカデミーでベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻に学んだ「ベッヒャー派」の一人。東京証券取引所、ショッピングモール、ロックコンサート、ハイテク工場など大量消費社会、グローバル経済を象徴するような場所をモチーフに、巨大な建造物や群集をはるか彼方から俯瞰するスケール感のある作品で定評がある。デジタル技術を駆使しながら、緻密で焦点のない均一な画面を創り出し、独特の視覚世界を展開する。
2011年当時、写真作品史上最高額
(当時のレートで約3億4000万円)で落札された
「ライン川Ⅲ」は世界的に有名な作品です。
超高解像度で撮影された大判写真作品に感化されて、
私はハッセルブラッドx1DⅡを選びました。
(今のところ高解像度と作風はあっていませんが笑)
他にも、ベルント&ヒラ・ベッヒャー
(ベッヒャー夫妻)の作品も展示されていました。
写真表現の1つの型である「タイポロジー」
※(下記参照)の技法を生み出した、
写真史に置いて超重要人物です。
その影響を受けたベッヒャーの門下生である、
トーマス・ルフやアンドレアス・グルスキーなどは、
後に「ベッヒャー派」と呼ばれています。
すごい存在です。
彼らの作品も喜多美術館では並べて展示されている。
ドイツいや世界の写真史の系譜が、
ここに並んでいます。
他にもゲルハルトリヒター、
リネケ・ディクストラの作品も展示されていました。
ということで、今年の私の写真学校の遠足は、
ここで決まり!

総括/美術館情報
素晴らしい作品の数々を見れてたし、
私の中では最高レベルの、穴場美術館です。
でも、あえて。あえて。
忖度なく書かせてくださいませ。。。
作品の展示方法(ピクチャーレールでの展示)や、
解説文がラミネート加工に画鋲なのも、
もったいないな、と。
作品の保存方法も含め、後世に残してほしいと
心から思うので、ぜひとも頑張ってください!!
きっといろんな事情がおありだと思うし、
素人の失礼なコメント、どうかお許しください。
この作品を収集した先代の喜多才次郎さんの
コレクション愛がひしひしと伝わってきました。
才次郎さんと対話してるみたいな時間でした。
わたしもいつか、写真作品をコレクションして、
古民家をリノベした空間に、
私立写真美術館「たむら美術館」を開館するのが
30年後の夢になりました。
ということで、現代アートや写真好きな方は、
ぜひ、喜多美術館を訪れてみてください。
大神神社と一緒に観光するのもおすすめです。
あと、車で数分で行ける「肉のカワイ」の
場外売店で販売されている百々福焼きが、
激うまですので、是非とも食べてほしい!
素晴らしい作品に出逢わせていただき、
また館内を丁寧にご案内いただき、
本当にありがとうございました。

|喜多美術館|
〒633-0002 奈良県桜井市金屋730
TEL 0744-45-2849
【休館日】
月・木曜日(祝日除く)休館
10:00−17:00(入館16:30迄)
※必ず事前に営業日時の確認をしてくださいね
おまけ・おすすめの展示
最後に、現在企画展開催中の、わたしのおすすめの展示です。
2025年2月23日現在、滋賀県立美術館で開催中の
「BUTSUDORI ブツドリ:モノをめぐる写真表現」
これ、最高によかったので簡単にご紹介して終わります。
「物撮り」は写真用語なのですが、写真史を物撮り視点から
辿っていく展示方法に感銘を受けました。
キュレーションの重要性を改めて感じました。
特に写真を撮っている人、クリエイティブに関わる仕事を
されてる方におすすめです!(あと、図録もめっちゃいい♡)


BUTSUDORI ブツドリ:モノをめぐる写真表現
|滋賀県立美術館|
〒520-2122 滋賀県大津市瀬田南大萱町1740−1
【会期】
2025年1月18日(土)〜3月23日(日)
【休館日】
毎週月曜日(ただし休日の場合には開館し、翌日火曜日休館)
【開館時間】
9:30-17:00(入場は16:30まで)