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AWSができる前にAmazon.comが抱えていたビジネス課題とは?
この度「AWSを好きになる本 ゼロから始めるクラウドジャーニー」という本を出版させていただくこととなりました。
出版を記念して、本の予約受付開始の3/19(金)から発売開始の3/26(金)まで毎日記事を書く「出版アドベントカレンダー」という企画を行っています。
※書籍については紹介ページを作ったのでよかったら覗いてみてください。動画なども掲載しています!
この本のテーマとなっているAWSは、世界的なECサイトを運営するAmazonによって提供されているクラウドサービスです。AWSはAmazonがAmazon.comを運営する中で発生したビジネス課題を解決するために開発したITインフラストラクチャーを外部向けにも提供を始めたことで誕生しました。
インターネット書店としてECサイトを立ち上げてから今のように世界中の国々でサービスを提供するほどサイトを拡大する中では勿論数多くの問題があり、これらの問題を1つ1つ乗り越える中でAmazonはITインフラストラクチャーの改良を繰り返してきました。
出版アドベントカレンダー5記事目となる今回の記事では、Amazon.comが成長するなかで直面したこれらの課題をいくつか紹介したいと思います。
問題①:クリスマスホリデーの大量注文
インターネット書店としてオープンしたAmazon.comが、取り扱う商品を増やす中で直面した1つの問題が利用者の増えるクリスマスシーズンの注文にどうやって対応するかという問題です。
アメリカ人の消費は11月の第4木曜日にある感謝祭からクリスマスイブまでの3~4週間に極端に集中しています。
感謝祭の翌日が「ブラックフライデー」と呼ばれるのは、この日がクリスマスショッピングの期間が始まる日で、小売店には多くの人が押し寄せて大きな「黒字」になるからと言われるほどです。
ECサイトの運営面から考えれば、1年の間でこの数週間の間のみ普段の何倍以上ものサーバーのスペックが必要になります。
問題②:膨大な商品データや商品画像の保管
Amazonは、世界最大の店舗になるという目標から世界最大の河川であるアマゾン川から名づけられています。
Amazon.comはAからZまでどんな商品でも取り扱い、地球上で一番豊富な品揃えであることを謳っていますが、数えきれないほどの商品を扱うということは、それだけ大量の商品データや商品画像を管理しなければいけません。
そのためには、容量に制限が無くどれだけスケールが大きくなってもデータを保存することのでき、それらにいつでも素早くアクセスすることができる必要があります。
問題③:同時注文の防止
Amazonはアメリカの全世帯の約50%がプライム会員になっていて、日本国内でも約2人に1人がAmazonを利用して買い物をしていると言われるほど非常に多くの人が利用しています。
それだけ多くの人が利用する上で問題になりうるのは、Amazonで取り扱っている商品の残りが1つだけだったときに、ほとんど同じタイミングで購入処理が行われた場合でもその商品を買うことができるのは1人でなければいけません。
これを可能にするためには、何千万人というユーザーの管理に耐えるのと同時に、コンマ数秒単位で購入処理を捌いてデータベースを最新の状態に保つ必要があります。
問題④:おすすめ商品の案内
Amazonで商品の購入を行うユーザーに対して、ユーザーが欲しいと思っている商品がサイト上で提案されたらユーザーの満足度は大きく向上します。
サイトを運営しているAmazonにとっても、カスタマーの興味がありそうな商品を提案することでサイトの滞在時間を長くでき、その分多くの商品を買ってもらえる可能性を高めることができます。
関連のある商品でかつ目新しさを提供できる商品を提案するには、ユーザー1人1人の商品検索履歴や購買履歴などを蓄積するとともに、商品属性の解析や分類を行わなければいけません。
問題⑤:アフィリエイト手数料の計算
Amazonでは商品の販売を行う以外にも、アフリエイトプログラムとしてブログなどで商品の紹介を行った人への報酬(紹介手数料)を支払う仕組みがあります。
これは毎月決められたタイミングですべての商品の紹介数を集計して計算する必要がありますが、膨大な量の計算を1台のサーバーで行うのには限界があります。
かといって、複数のサーバーで計算を行うためには処理を小さな単位に分割して処理を複数のサーバーに分散させる必要があります。
これらの問題を解決したのがAWS
今回ご紹介したのはAmazon.comが今まで直面したビジネス課題のほんの一部ですが、これらの課題を解決するためにAmazonが生み出した仕組みを誰でも利用することができるようにしたのがAWSです。
世界トップレベルのECサイトであるアマゾンを運営するのと同じレベル・同じ仕組みのテクノロジーを誰でも利用することができるというのは改めて考えてみると本当にすごいことですよね。