【ジュニパースパイス】セイヨウビャクシン、ヨウシュネズ
ジンなどスピリッツ類に使われている有名なスパイスのひとつです。北半球一帯生育するヒノキ科の常緑の針葉樹で、とげとげした丸い実(ジュニパーベリー)を利用します。温帯に育つ数少ないスパイスで、安価なうえに野生のものも多いのですが、その割には、英語圏ではあまり利用されていないようです。しかしスカンジナビアでは牛肉やエルク(大鹿)の肉の酢漬け、ローストポークの赤ワイン漬けなどに使われ、また北フランスでは鹿肉の料理やパテに、アルザス地方やドイツではザワークラフトにと、国や地方によっていろいろ使われます。砕いて塩やガーリックと混ぜ、ローストする前のカモやキジの肉にすりこんだり、オールスパイスとペパーと混ぜて牛肉料理にも使います。
薬用としては、利尿や抗炎症の効果がある薬草として処方されています。妊娠中や腎臓に疾患のある人は使用を避けましょう。
ジュニパーベリーと根は紫や茶色の染料としても利用されています。かつては葉とベリーを燃やして空気の清浄に使っていたこともあります。また、ベリーはヘビに噛まれた時の薬としても使われていましたし、香り高い精油は殺虫剤や香水にも調合されています。
#スパイス図鑑 44ページより