【アサフェティダスパイス】アギ、ヒング
インド以外ではあまり知られていないスパイスで、ジャイアントフェンネルとも呼ばれる植物の根茎からとれる樹脂のような物質を乾かしたものです。ペルシャ語で樹脂を意味する「アザ」とラテン語で臭いという意味の「フェティダ」が合わさった名で、特徴をよく表しています。南西アジア原産ですが、ペルシャやアルメニアからローマ帝国へ運ばれ、シルフィウム、ラセール、ラセルピチウムなどと呼ばれて茎や根から取った樹液が料理に使われていました。
美食家アピシウス
当時から高価で、美食家アピシウスは1オンス(28g)のアサフェティダの実を20粒の松の実と一緒に瓶に入れ、料理の味付けにはこのアサフェティダの匂いの移った松の実をいくつか割って使い、また瓶に松の実を補充するといった方法を、その著書で提案しているほどです。
料理では、西洋や南インドでは豆や野菜の料理、ピクルス、ソースなどに使われます。肉を焼く前にオーブンに少量をすりつけたりもします。
薬用では、けいれんを抑える作用があるとされ、昔はヒステリーなどの鎮痛剤としても利用されていました。インドではおなかの張りや気管支炎の薬にも処方されています。
#スパイス図鑑 41ページより