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setogawahikari
10年ぶりの再会
こんな時期に、とは思うのだけど、機を逃したら二度と会えないかもしれないと思うので会う約束を取り付けてしまいました。
短歌の師匠に会いに行きます。10年ぶりです。彼女の一身上の都合でグループが解散しました。という形ではあるけれど、グループのメンバー総てが彼女によって「破門」されたのだと思ってきました。
何故か。
彼女がずっとずっとずっと言っていた「個の確立」がいつまでたってもできないから。彼女は「師」とも「先生」とも呼ばれたくないひとで、私たちは名字で彼女を呼んでいた……にもかかわらず、歌会のキメの一言はいつも彼女に求め、彼女が都合で歌会に参加できない時は「やっぱり松永さんがいないとダメよね」と言いながら過ごすという甘えた態度を取っていたから。
「わたくしはもう高齢だから、少し自分の時間をしっかり取りたいと思います。まだ本を一冊どうしても書きたいし、歌集ももう一冊は出したいの。なので、あなたたちはここを出て、自分たちでグループを作るもよし、よそのグループに移籍するもよし。好きにしてください。」
彼女が作り上げてきた「青嵐」というグループの幕引きを彼女自身にさせてしまった、その負い目もあって、私は地中海という結社からも脱退して、歌も作れなくなった。
けれど、10年経って、私の中にくすぶっていた歌がもう一度燃え始めた。それを伝えたくて。「松永さんが育ててくださった私の中の短歌が、今はこんな形で出てきています。」と直接伝えたくて。
土曜日に、会いに行く約束をしました。
嬉しい。