
弁護士保険の中の弁護士は利益相反の状態になりやすい?(公開質問状)
「私は、ある少額短期保険の弁護士保険サービスの会員になっています。うまく利用できない場合はそれなりの損してしまいます。ところが、ある会社を相手取って民事訴訟を起こしたところ、相手方の訴訟代理人が、上記の弁護士保険サービスの相談担当だった、ということがありました」。
たしかに、三淵震三郎が幹部だったような大手の会社であれば、様々な弁護士保険から相談情報を得るため、そこに所属する弁護士を雇い集めたりすることが可能かもしれません。しかし損害保険(産業コード6721)と少額短期保険(産業コードL6733)は別物であるべきです。
日弁連会規が禁じている弁護士の「利益相反」の状態ではないか? 弁護士会には弁護士活動の信頼を確保する義務があると思われます。
そこで弁護士所属元の東京弁護士会に質問状を出しました。回答も公開する旨はお断りしています。
質問の趣旨は
①弁護士の利益相反を訴えられるのは、直接弁護士と契約している保険社か、間接的に契約している保険社契約者か
②東京弁護士会の対応
ということです。
質問書
(弁護士保険商品における利益相反について)
1 事情
(1) 私はY少額短期保険株式会社(以下「本件保険社」といいます。)の弁護士保険(商品名:弁護士C-N)の契約会員ですが、サイト内の弁護士相談を利用しても回答が得られない状況があり(資料 )、不審に思い状況を調べていたところ、原告として係属中の裁判の相手方の一人の代理人であるYI弁護士(資料 1)が、本件保険社を担当して宣伝協力も行っておりました(資料2 、資料3 )。
(2) 相談無回答の件も含め、YI弁護士の状況は当該保険社に電話にて伝えました。利益相反らしき状態が、偶然に判明した状態です。
(3) したがって、私は現在、本件保険社のサービスを信頼できない状態です。本件保険社は「(弁護士)保険金支払いの可能性がある法的トラブル」につき「当社への事前のご連絡」を求めており(資料 )、契約会員が相談すれば、保険業法施行規則に基づき関係者内で情報が共有される可能性は否めません。
(4) 弁護士職務規程(日弁連会規第17号)は、利益相反について「依頼者及び他の依頼者のいずれもが同意した場合」のみ、「依頼者の利益と他の依頼者の利益が相反する事件」の受任は可能としています(同28条1項~3項)。ただ、保険社内の情報共有が利益相反に繋がりかねないので、私は同意するつもりはなく、弁護士本人または弁護士会に状況を解決していただきたいと思います。
2 質問
(1) 相談者と弁護士のあいだに弁護士保険社が存在する場合、利益相反に同意しない権限はいずれにあるか、つまり、私から本人に利益相反に同意しない旨を伝えても、YI弁護士は相手方代理人を辞任する義務があるか、懲戒事例等も含め日本弁護士連合会の弁護士職務規程28条等に基づいた御会の見解をお聞かせいただけますでしょうか。
(2) 裁判が開始されてから判明したことですので、紛議調停や懲戒請求手続などをしている時間もなく(平成21年の御会懲戒事案は処分の確定までに5年10か月かかりました ※1)
、御会において調査のうえ、あるいはYI弁護士に代理人辞任の勧告等を行っていただくことは可能でしょうか。
以上、よろしくご返答のほどお願い申し上げます。
2024年10月8日
(署名)
参考 本件保険社の商品の重要事項説明書の抜粋
(4) 指定紛争解決機関(ADR)
当社は、法律に定められた指定紛争解決機関である一般社団法人日本少額短期保険協会と「手続実施基本契約」を締結しています。当社との間で問題を解決できない場合は、日本少額短期保険協会に対して、相談または解決の申し立てを行うことができます。
(5)個人情報の取扱い
当社は本保険契約に関する個人情報(過去に取得したものを含む)を保険引受の判断、本契約の管理・履行、付帯サービスの提供、他の保険の案内、アンケート等を行うために利用するほか、次の①から④の利用・提供を行うことがあります。
① 本契約に関する個人情報の利用目的の達成に必要な範囲内で、業務委託先(保険代理店を含む)、保険仲立人、保険金の支払先の弁護士等、保険金の請求・支払いに関する関係先、金融機関等に対して個人情報を提供すること
② 契約締結、契約内容変更、保険金支払等に関する判断の参考にするため、他の保険会社等や少額短期保険協会等と共同して利用すること
③ 当社と当社の提携先企業等の間で、商品・サービス等の提供・案内のために、個人情報を共同して利用すること
④ 再保険引受会社等における再保険契約の締結、更新・維持・管理、再保険金支払等に利用するために、個人情報を再保険引受会社等に提供すること
法的紛争に関する特別な非公開情報(センシティブ情報)の利用目的は、保険業法施行規則により、業務の適切な運営確保その他必要と認められる範囲内に限定されています。
付属資料
資料1~資料5

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