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中国語の語彙を増やすには──自分の学習遍歴から

中国語の語彙を増やすということ。これは自分の言葉の幅を広げる上でとても大切なことですし、必要なことでもあります。一方で「語彙を増やす」ことは、語学の学習者にとってはある種難しく、忍耐を伴う機械的作業でもあると言えるでしょう。

では皆さんは、中国語のボキャブラリーを増やすためにどのような努力をされていますか?語彙を増やすためのツールとして、単語カード、単語帳などを使っている方も多いのではと思っています。

ただ、私は自身は中国語学習する上で単語カード、単語帳を使ったことはほとんどありません。なぜなのか。今回はそのあたりの理由も含めて、私も学習遍歴を語ってみようと思います。

実は私の大学の出身は英米学科なのですが、中学、高校と私は英語をマスターするために、単語カードや単語帳に頼った勉強法を繰り返し行っていました。

その結果、英語の語彙数は飛躍的に向上しました。実際に中国に留学していた時、欧米出身の同学と英語で会話した時、「君は相当ボキャブラリー多いね」と言われたこともあります。会話力はそれほどでもないという風に私は理解しましたが、、

このようなやりとりもあり、今思えば、英語の会話もおぼつかず、ライティングもレベルアップできず、どれも中途半端で終わってしまった感しかありません。

その原因は何か。今考えてみると、語句の「音」と「意味」と「文字」が頭の中ではっきりと一つにつながっていなかったからだと思っています。

これはどういうことか。

つまり机上で単語帳や単語カードで覚えても、それは頭の中で「意味」と「文字」をつなげる作業をしただけ。実際に使うには「音」と「意味」、「文字」をつなげる作業をしなければ「語彙」として使いものになるとは限らないのです

大学時代にそのことに気付いた私は、大学、そして大学卒業後の中国留学で中国語を本格的に勉強するに当たり、「極力単語帳や単語カードに頼らずに語彙を増やす努力をしよう」と決めました。

以前のノートでも何回か言及していますが、私は大学生の時、ある有名な教授に師事して中国語を勉強していました。

その教授のスタイルは一冊薄い中国語の本を渡し、「本を一冊丸々覚える」というもの。語句単位ではなく「文単位で丸々覚えろ」という意図、そして文単位で覚え、文の中に分からない語句があれば調べろという意図がそこにはありました。

要するに中国語を語句単位でとらえるのではなく、文単位で捉えろというメッセージなのでしょう。いくら語句を一つ一つ覚えていたところで、会話文や文章で使えなければ意味がない。少なくとも私は当時そう受け止めていました。おかげで中国語の骨組みである「文型」の基礎を頭に叩き込むトレーニングができたと言えます。

そのような「文型」の基礎を頭に叩き込んだ段階で中国に行ったおかげで、私は現地で、中国人との会話にはすんなり入っていくことができました。

しかしやはりそこでもどうしても分からない単語が出てくる。

そこで私は留学中に知り合った中国人の友人にその意味を聞いて、宿舎に帰った後辞書で調べ、漢字で覚えるようにしました。私たち日本人も漢字を使う民族ですから、漢字で視認できれば音で覚えるよりもより理解度は深まります。

さらに覚えたその語句を、忘れないうちに別の人にぶつけてみて反応を見る。反応を見て自分で微調整する。終わったら別の人に試してみる。そのような動作を一日中繰り返してみました。このように一日に何回も繰り返してみれば、紙に書かなくてもいやがおうにも記憶として自分の頭の中に入っていきます。

さらに宿舎の私の部屋にはテレビがありました。テレビは中国語に訳した日本のテレビドラマが字幕付きで毎日放送されており、日本語としての知識がある私にとっては、「これ、日本語ではこういう意味なんだな」と予測できる語句や言い回しがいくつかあり、これも紙に書く前に友人に躊躇なくぶつけて反応を観察し、自分の語彙として頭の中に入れていきました。

もう一つ。語学留学中ですから、当然ながら授業では中国語を勉強しますし、中国語の語句や独特の言い回しも勉強します。

これも当然ながら私の会話力向上、語彙力向上の格好の材料となりました。覚えたものをすぐに友人にぶつけ、反応を見て、それを自分の語彙として頭の中に入れるという作業を繰り返しました。

留学中、これら3つのことを並行して実践したおかげで、私の中国語の語彙力は飛躍的に向上したのです。


ここから分かることは何か。

つまり語彙力を高める上で重要なのは、①初学者のうちは語彙の充実ではなく、文そのものを記憶するようにし、まず中国語の「文型」をきちんと把握する➁その次のステップとして語彙力向上のために新しい言葉を「音」で取り入れ、それを頭に叩き込むために「アウトプット」を繰り返し、その過程で文字との結びつけを行う――の2点ではないかと思います

でも私みたいな環境を用意できないよ、と思われる方もいらっしゃるかと思います。ただ、少なくとも①は日本にいる段階でもできると思います。

最初の初級者・中級者の段階ならば、語彙うんぬんを気にするよりも、本まるごと一冊覚えてしまう感覚で、隅から隅まで「テキストの中国語文」を覚えてしまいましょう。それだけでも「文型」と「語句」を自分の中に取り入れることができ、一石二鳥です。

その上で➁に進むのですが、、これは少々自分自身の努力が必要です。自分が中国語を話せる環境を準備する必要があるからです。

ただ、今の時代SNSが発達していますし、わざわざ中国に留学しなくても中国人の友人を容易に作れる時代になってきています。ぜひSNSを活用して「自分が覚えた語彙をアウトプットする」実験台になってくれる友人を見つけてみましょう。

このようなことができれば、紙で「単語帳」や「単語カード」を作る必要はなくなるはずです。

ぜひ頑張ってみてください。

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