バイリンガル並みの会話スピードはどのようにしたら身につくのか
「バイリンガルの人って、頭の中はどうなっているんだろう」。皆さんはこう考えたことはありますか。
私自身は日本語ネイティブであり、今だに「日中のバイリンガルです」と公言することは恥ずかしくてできません。しかし「それに近いところまでいけたのではないか」と思ったことはこれまで何回もあります。
おかげで今では中国語で話すときは、「自分の考えたことや見たもの⇔中国語」といった思考回路がほぼできており、よくある「自分の考えたことや見たもの⇔日本語⇔中国語」といった非ネイティブの思考回路からは脱却できています。
ただ、中国語と日本語をしゃべるときの頭の切り替えという問題で言うならば、未だに苦労しているともいえるでしょうか。中国語でしゃべっている時に中国語の語句よりも日本語の語句が先に頭の中に出てきてしまい、日本語を無意識に口にしてしまったり、逆に日本語でしゃべっている時に日本語の語句よりも先に中国語の語句が出てきてしまい、「あっ・・」と思ったりしたことが多々あります。これも外国語習得で通る道なのかなと思ったりもしています。
だからこそ、同時通訳をできる人ははたから見てとても「すごいなあ」とおもってしまうわけです。まぁ自分も同時通訳を目指していた時期がありましたが、今では「やらなく良かった」と思うようになりました。
現在の私たちの家庭の言語はというと、私と妻との会話は中国語(普通話or日本語と普通話のちゃんぽん)、私と娘や息子との会話は日本語、妻と娘、息子との会話は日本語or簡単な普通話となっています。
このような環境を構築できたのは自分の運、努力のおかげだったともいえるのですが、だからこそ「バイリンガル」並みの中国語会話に近づける秘訣みたいなことは語れるのではと私は考えています。そこで今回はその視点から解説したいと思います。
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まず、日中の「バイリンガル」を目指している人たちにはぜひ覚えておいてほしいことがあります。それは「視覚情報」をどれだけ素早く中国語で表現できるかということ。そしてその表現を練習できる環境の構築にどれだけで努力できるかということです。
その上で私は数日前、このようなツイートをしました。
上記のツイートについては、「この日本語、中国語でどう言うんだっけ」と置き換えても全く同じようなことが言えます。私はこのようなつぶやきを中国語学習界隈の人から目にするたびに、「違うんだよなぁ」と思っています。なぜなら、私たち非ネイティブが目指す中国語会話の最終目標は「日本語⇔中国語の同時通訳者になること」ではなく、「ネイティブ並みのスピードで話せるようになること」であるはずだからです。
このような最終目標を実現させるためには、「自分が思っている事象→中国語」という思考を養うべきだとの考えで、上記のツイートをしました。
では「自分が思っている事象→中国語」と言う思考はどうやったら養えるのか。やはり中国留学(オンライン留学ではありません)が一番の近道であると私は考えます。中国で生活すれば、勉強だけでなく身の回りのことまで、「自分が思っている事象→中国語」という思考を養わざるを得ない環境に自分の身を置くことができます。日本語はできるだけ話さないようにして、そのような環境で1年も過ごせば、飛躍的な違いを感じることができるでしょう。
でも今のコロナ環境ではなかなか難しいし、金銭的な事情で留学はちょっと、、という声もあるかもしれません。
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そのような人たちにはぜひ、自分の中国語の勉強法を改善し、少しでも「中国語で物事を考える習慣」を養うようにすることをお勧めします。
具体的に言うならば、単語を調べる時に「中日・日中辞典(北辞郎)を使う時間をできるだけ減らす」ということです。「中中辞典」やネットの「百度百科」で単語の意味を理解するようにしてみましょう。
これと並行して、中国語の言い換え力をつけることもとても大切です。
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例えば、中国語には「语无伦次」という言葉がありますが、皆さんは意味を知っていますか。中日辞書で調べれば「支離滅裂」という意味があることがわかるでしょう。ここまでは「誰もがわかることです」。
ならば皆さんは、中国人にこう聞かれたらどう応えますか。
「これを中国語でどう答えるか」。これこそが、中国語脳を養うのに必要な言い換え力です。
さらに言うと「语无伦次」の類義語で「吞吞吐吐」という言葉があります。これは辞書を引けば、「しどろもどろ」といった訳語を見ることができるでしょう。
ならば皆さんは、中国人にこう聞かれたらどう答えますか。
いろいろな回答が思いつきますよね。答えは一つだけではないはずです。でも答えを思いついたら、ぜひ中国語ネイティブの人(友人や親しい人でもかまいません)に答えをぶつけてみることをお勧めします。その人が理解できたら、正解と言えるでしょう。
例として「语无伦次」や「吞吞吐吐」を出しましたが、他にもいろいろ言い換えられる言葉があるはずです。勉強する中でぜひ、自分で見つけてみてください。
重要なのは最初は「かっこよく言おう」とは思わないことです。「相手が理解できればそれが正解」です。最初は泥臭く答え、ボキャブラリーを増やせた後に自分の言葉を整理すればいいのです。このように勉強するときの意識を変えるだけでも、「中国語脳」に大きく近づけることができます。
ぜひ試してみてください。
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