ネイティブらしさ・・とはなにか
ネタがなくなり気味な今日この頃、いつも通り他の方が書いたnoteを巡回しているとこのような記事が目に留まりました。
ネイティブらしさとは何かというテーマについては、私も以前何回か考えたことがあります。でも実は、自分自身は「ネイティブらしくしよう」と考えたことはあまりありません。なぜなら私自身は中国語学習の主眼を「ネイティブらしくする」ことではなく、「ネイティブをまねる」ことにおいてきたからです。
しかもネイティブということを考えた際、そもそも論として「ネイティブの中国人とはなにか」という難しい定義に行きついてしまいます。
「ネイティブの中国人」といっても中国はとても広いんですよね。西は新疆から東は上海まで、北は黒竜江から南は広東、海南まで。各地方の現地の人たちが話す中国語(ここでは普通話ですが)は発音も、言い回しも微妙に異なっています。
特に新疆ウイグル自治区の少数民族の人たちが話す中国語は、中国語を習いたての欧米人が話すようなイントネーションですし、広東語が日常的に話されている香港や広州の現地の人たちが話す普通話は、北京語に慣れている人にとっては聞き取りづらいに違いありません。
このような国土だからなのか、中国の人たちは初対面の人たちに対する「ネイティブのハードル」は恐ろしく低いです。初めて会話して少々ポンコツな中国語だったとしても、それなりに話せばほぼ100%「ネイティブが話している」と思ってくれます。
これに対して、英語はそうはいかないようです。私も数年前にアメリカのニューヨークを訪れたことがあるのですが、カフェなどで何か注文する際、こちらのポンコツな英語を一言話すとすぐに、店員は私が外国人であることを察知し、「外国人用の態度」で私に接してきた記憶があります。この時点で「ああ、アメリカの人は英語の微妙な違いで態度を変えるんだな」と感じました。
私が思うに、引用元の方はわれわれ外国人が「北京周辺の標準的な普通話(共通語)を話す中国人」のように話せるようになることを念頭に置いているのだと思います。
確かに、「しっかりと相手に伝わる中国語」を習得することはとても大切です。しかし先ほども話したように中国人は「ネイティブらしさ」に対するハードルはとても低い。ならその次に目指すべきなのは何か。それは「相手にちゃんと自分の意思を伝える(意思が伝わる)」だけの中国語をしっかり身につけることではないでしょうか。
当然ながら中国国内では、一般的な中国人ならば、全国一律共通で「普通話(北京語ではない)」の学校教育を受けています。ですからわれわれが目指すのはこのような「教育を受けている中国の人たちが理解できる中国語」でなければなりません。
その最終目標を目指す上で「標準的な発音で標準的な中国語会話ができるようになる」というのはとても大切です。ただその一方で、「ネイティブらしさを追求しなければならない」と肩ひじを張って中国語を勉強するのも違うと私は感じています。発音が少々おかしくても、語句が日本語っぽくても、相手に伝わるならば、それで構わないと私は感じます。私たちが目指すのは同時通訳ではないのですから。
中国の人たちに自分が勉強した成果をぶつけてみて、伝わるという実感、自信を得た後にさらなる高みを目指す。それが語学学習を長く続けることのできる秘訣だと思います。
そして、自信を得た後はひたすら中国語ネイティブの人たちの言い回し、発音をまねる。
その結果、自分の発音や言い回しが北方人らしくなったり、南方人らしくなったり、台湾人らしくなったりするかもしれません。でもそれで構わないと思っています。「ネイティブらしい」中国語にはなっているのですから。
中国語は入門レベルはとてもとっつきにくいと言われています。それは発音が難しいからという理由が考えられるのですが、ぜひ肩ひじ張らずに取り組んでみてはいかがでしょうか。