反語の意味合い(2)
ネットを見てみると、中国語学習者の皆さんの多くが、中国語会話で多用されている反語の取り扱いにてこずっているように思えます。
なぜか。それは街中で多くの中国人が反語を多用しているにもかかわらず、その用法が中国語の教材で取り扱われることはほとんどなく、ネイティブとの会話の中で会得するしかないといった状況にあるからだと私は考えています。
しかし「相手が何を考えているか」、そして「自分が考えていることをしっかりと伝えたい」場面で、反語の意味合い、用法をしっかりと習得しているかいないかでは会話の幅に大きな差が出てしまいます。
この反語については、これまで何回か当noteでも取り上げてきました。しかしそれでも難しい分野でもあります。そこで今回は、反語を使いこなすためには、どのように脳内で構文を構築すべきかということについて少々解説したいと思います。
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反語の定義や解説については、以前のnoteの記事「反語の意味合い」でご紹介した通りです。つまり言いたいこととは逆のことをあえて述べて、疑問を相手に投げかけ、言いたいことを強調する話法となっています。
つまりこれは裏返して言えば、「実際に表現したい意味と逆の構文をいかに脳内で素早く構築できるか」が重要な鍵となるということです。そのためには「慣れ」が一番重要になってきますね。
一番効果的なのは友達など親しい仲の人たちに嫌と言うほどぶつけて試してみることでしょう。「友達など親しい仲の人たち」と限定したのは反語表現は時として相手に失礼な印象を与えてしまうからです。そのあたりは先ほど取り上げた記事「反語の意味合い」でも説明しました。
では実際のところ反語にはどのようなタイプがあるのでしょうか。
大きく分けると「熟語として固定されているもの」と「それ以外のもの」と2種類あります。
「熟語として固定されているもの」の例としては、「差一点(もう少しのところで)」「恨不得(したくてたまらない)」「难道(まさか)」などでしょうか。この語句に続く構文は「必ず」自分が言いたいこととは逆の意味の文が続きます。例えば・・
どうでしょうか。両文章は、文全体の事実とは全く正反対の意味になっていますよね。
実際のところ、「差一点」「恨不得」は「反語マスターの入門編」となる語句です。
脳内で文章を構築するイメージとしては・・
言いたいこととは逆の意味の構文を脳内で主語なしで構築する
その次に「差一点」「恨不得」を動詞の前にくっつける。
さらにその前に主語をくっつけるといういった感じでしょうか。
つまり、そのまま反射的に「我没撞上车子」と言ってしまわないで、脳内で「がまんして反対の文を作る忍耐」が必要になっているといえます。
ただ反語は立て板に水のように、流れるような会話の中でスパッと決めないと効果が余り期待できません。ですから先ほども主張した通り、中国語会話の中で何回も使用し、「慣れること」が重要になってくるのです。わたしの場合は留学中、「差一点」「恨不得」を含む反語構文を1日最低10回は日常会話に盛り込んで、知り合いになった台湾人や華僑のルームメイトにぶつけ、徹底的に頭に叩き込み、その中から「逆のことを言う」という思考を養いました。実のところ、今でも妻と会話するときに普通に使います。
それができるようになれば、次のステップである「それ以外のもの」に進むことになります。
「それ以外のもの」というようにあいまいな表現にしたのは、さまざまな反語のバリエーションが存在するからです。ただ、考え方やパターンは大体同じです。それはすなわち、①動詞以下の構文は「自分の言いたいこととは逆の意味」にする②疑問形にする(疑問形にしなくてもいい場合もあります)――です。
②の疑問形は大きく分けると、「还~(吗)?」の形と「怎么~呢?」の形があるでしょうか。例えば・・
このほかに「还能」や「什么」で疑問形に持ってくる言い方など、ほぼ無限と言ってもいいくらいの形が存在します。ほかにどのような反語のバリエーションがあるか、ネイティブの会話を観察してみるのもいいかもしれません。
とにかく、これらの反語の後ろにある「本当の意味」を聞き取れるようになること、そして自身も反語を正しく駆使できるようになるには、失敗してもいいのでネイティブとの会話の場面でどんどん使っていき、「体で覚えること」が肝心といえます。
サポートしていただければ、よりやる気が出ます。よろしくお願いします。