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発音はやっぱり重要(でもほどほどに)

中国語の学習で「最初にして最大の鬼門」ともいわれる「発音」。

中国語の学習を初めて一番ぶつかる壁は何か?と聞かれれば、日本人学習者の10人中10人が「中国語の発音の習得」と答えるのではないでしょうか。

当noteでも「発音」に関するトピックはこれまで数多く取り上げてきました。ただやはり「中国語の発音」というのは極めれば極めるほど「沼」にはまりやすいという要素でもあります。

だからと言って、おざなりにしてしまうのも非常に良くない。ある程度は「標準的な発音」ができるだけのトレーニングに時間を割くべきだと考えます。

ただ、ここでいう「標準的な発音」というのは何も「アナウンサー並みの奇麗な発音をすべきだ」というわけではありません。少なくとも「ネイティブの中国人が聞いて理解できるだけの発音力」を身に着けることが大切だということです。

なぜか。当然ながら、会話というのは「言葉のキャッチボール」であるわけですから、相手が自分の言っていることが理解できなければ、自己満足に終わってしまうからです。

そこで今回は、良い発音が身につくとどのような良い効果が得られるのかを先ず解説しましょう。

ヒヤリングが向上する


これは事実だと実感しています。なぜヒヤリングが向上するか。これは耳で聞いた音情報と脳内で録音されている音情報が結び付き、これにより脳内で記憶している意味を素早く引き出すことができ、脳内での理解が早く進むからです。

仮に、脳内で記憶している音情報があいまいで、外人がしゃべったような四声や発音だった場合、耳で聞いた音情報と脳内の情報が合わず、混乱してしまう状況になりかねません。

実際、自分が出会った日本の方で、「中国語のヒヤリングがいまいち」という人はたいていが、中国語の発音もめちゃくちゃで、しゃべっても何言っているか分からなかったケースが多かったです。

でも「いやちょっとまて、たとえ標準的な発音をマスターしても、それでなまりが入った普通話のヒヤリングはできないかもしれないじゃん」という方もいるかもしれません。

でも各地のなまりも突き詰めてみると、広東語や福建語など、「別言語」と目されているものを除けば、ベースは「普通話」です(当然と言えば当然)。ですから四声がずれていたり、発音が少々異なったりしたとしても、ある一定の法則でそうなっているケースがほとんどなのです。

これは裏を返せば、その「法則」さえ理解できれば、「脳内の標準発音の普通話」でも予測して、十分対応できるということでもあります。ようは「慣れ」だともいえるでしょうか。

特に四川なまりなどはかなり難解とも言えます。どれほど標準的な普通話の発音をマスターしている人であっても、多分最初は戸惑うことになるでしょう。しかし基礎がしっかりしていればこのような「なまり」も、「ある程度は(ここ重要)」聞けるようになります。

読解力が向上する

これも実はヒヤリングと連動している部分があります。自分自身は「発音の向上→ヒヤリング力の向上」の結果、リアルで音情報がなくても、中国語の文章を読むときに中国語で黙読できるようになりました。

中国語で黙読できるようになると、脳内で中国語が響くようになり、読むスピードは格段に向上します。読めない音もあるかもしれませんが、そのほかの「読める音」は完璧に意味を掴んでいますから、読めない単語にぶつかるたびに、辞書で引く行為もなくなるようになります。

◇◇

では、「良い発音」をマスターするにはどうトレーニングしたらいいでしょうか。

私はやはり、まずは「音読」を提案します。

理想は24時間中国語ネイティブの人と中国語で会話することです。でも、みんながみんなそのような時間も環境も整っているわけではない。

そこで、教科書でもいいし、ニュース原稿でもいい。まずはしっかりと音読をすることがとても重要であるということを強調したいのです。

ご存じの通り、外国語の発音は「使わないと錆びます」。これはなぜかというと、使わないと錆びる筋肉、脳内回路があるからです。ですから音読によるトレーニングを駆使して、常に活性化させておく必要があるのです。運動で例えるならば、「河原で毎朝ジョギングする」ぐらいの感覚でしょうか。

私自身も実は、翻訳する原文をできるだけ音読するようにしています(もちろん回りが迷惑しないような場所に移動してですが)。やはり日本にいると、中国語で話す機会というのは限られてしまうもの。それを防ぐための対処療法ともいえるでしょうか。このような努力は中国語学習者にとっては欠かせないものだと私は考えます。

その上でできるだけ中国語のネイティブとの会話の時間を設けることですね。可能ならば、中国語の原稿を音読して聞いて理解するに足る発音なのか聞いてもらうとより効果的です。

それでなくても、「ネイティブの中国人が聞いて理解できるだけの発音力」を身に着けるということはすなわち、ネイティブの力が不可欠だともいえます。ぜひSNSや録音機器など現代の環境をフル活用してネイティブに「自分の発音」を診断してみてください。

ここまで発音について解説してきましたが、共通するのは発音力向上に必要なのは「積極的な行動」がすべてだということ。主体的に動いてトレーニングを欠かさないようにしないと、中国語の発音の向上、維持はできません。これを肝に銘じておくようにしたいものです。

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