中国語の勉強に歌は有効か
皆さんは中国語の歌をどれだけ知っていますか?皆さんの中には「中華ソングをたくさん知っているよ」と自慢できる人も何人かいるのではないでしょうか。
かくいう私自身も、中国滞在中は多くの流行歌を聞き、結構はまっていましたし、カセット(当時っぽいです)やCDなどを買いあさっていました。おかげで90年代~00年代の中華ソングはほぼ聞いてわかりますし、いくつかはカラオケで歌えるまでにマスターしています。
そんな私ですが最近、「中国語の歌、とりわけ中華圏の流行歌は中国語の勉強には役立つのか」という問いをネット上何回か目にしています。この問題については私自身も思うところがあるので、今回はその点について少しかたりたいと思います。
結論から言いましょう。中華ソングをカラオケで歌っていた私自身の意見として言うならば、「絶対必要というわけではないが、歌を聞いて、歌詞を歌えるように練習すればいいことがあるよ」という回答になるでしょうか。
中華ソングにもいろいろあります。バラード調で緩やかなテンポの曲もありますし、ラップ調のとても速いテンポの曲もあるでしょう。「緩やかなテンポならば歌えるけど、ラップ調はちょっと・・・」という感想を持つ人もいると思います。
ただテンポが遅くても早くても、歌詞を歌えるように練習すればそれ自体が中国語の発音のトレーニングにはなり得ます。つまり、普段できない発音の筋肉を鍛えるため、口を動かす練習教材として割り切るという考え方です。
裏を返して言えば、それ以上でも以下でもありません。
つまり私が「教科書を丸暗記する」記事で提起した、「日常会話の定型文歌詞の言い回しとして歌詞の一節を使う」というのはかなり無理があります。
どうしてそういえるのか。なぜなら中国語の歌の歌詞は、どうしても私たちが日常使うものとはかけ離れた言い回しであることが多いからです。
まぁこれは日本語ソングの歌詞でも日常会話として使うフレーズは少ないことと同じと考えると合点がいくのではないでしょうか
だからこそあくまで「発音の練習教材で」という考えが重要だと思っています。(もちろんすべての歌がそうだ、とは思いませんが)
加えて、歌は中国語の「四声」の発音練習には適しません。もちろん歌の歌詞は普通話ならば「四声」のイントネーションにある程度合わせてはめ込まれているのですが、これ自体「四声」の発音に応用するのは無理があります。多くの日本人中国語学習者の悩みが、「四声」を正しく発音することだという点から鑑みるならばどうしても、「過信すべきではない」という結論にはなってしまいます。
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では、中国語の流行歌を聞いたり、カラオケで歌えるぐらいにマスターするメリットは他に何があるのでしょうか。
これは月並みではありますが、中国語を勉強するモチベーションの維持でしょう。「あの歌手が好きだから」「あの歌手の歌が好きだから」「あの歌の歌詞の意味を知りたくて中国語の勉強を始めた」という考えの人は皆さんの中でも少なくないのではないでしょうか。
かくいう私も歌を聴いたり、カラオケ用に歌詞をたどったりする作業をする中で、中国語学習のモチベーションを維持することができました。好きな歌だからこそ、知らない単語が出てきたらそれを辞典で調べたりと、いろいろ中国語脳を動かすことができました。
今考えれば、このような作業を繰り返すことで中国語の上達にもなったのではと考えています。
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ともあれ、やはり中国語に限らず語学学習は、机上の勉強のみではどうしても壁にぶち当たってしまいがちです。流行歌を過信するのは禁物だと私は思っていますが、上手に利用して、中国語の勉強につなげていきたいですね。