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【Seel Vol.38】より、インタビュー〈『写真』とわたし〉 未収録編を先行公開! 〜特別編・第1弾〜

 こんにちは!Seel編集部です。

いよいよ新刊、「写真」号が発刊です! 今回は年齢・経歴の様々な3人の写真家の方々にお話を伺いましたが、誌面の都合上どうしてもお話の全てを掲載することはできませんでした…

しかし!今回は特別編と題して、誌面に掲載できなかった貴重な未収録部分をnoteで大公開!3人の写真家の方々の撮影に込める思いや写真観など、読み応え十分のインタビューとなっております。第1弾では、写真家・川本史織さんのインタビューの未収録部分を公開したいと思います。それではいきましょう!

ー写真を撮影される時はその1枚に具体的なメッセージを込めていますか、それともある程度写真を見る受け手の想像力に任せていますか?

まあ受け手の想像力ですね、そこは。特に自分からこれっていうのはないので 。ただ依頼を受けたものに関しては、その依頼の内容が反映されてないと仕事にはならないのでわかりやすくまとめるかな。
例えばファッションの撮影だと、先方から「今回はこういうテーマでやるので、こんな色にしたいです」とかっていうのが、色々要望があるわけですよ。それに対して写真で応えるのが私の仕事なので、メッセージというよりは要望に応えるって感じなのかな。笑 

ーそういった依頼の写真を撮られる時はその被写体の特徴や魅力を伝えることを意識して撮られているということですか?

魅力もそうだけど、とにかくディレクターの要望にできるだけ近づける感じかなあ。あと、僕の場合は基本的にはドラマチックにしないとか、誇張をしないとか、そういう感じでやるかな。変な話、僕は写真をめちゃくちゃ普通に撮るんですよ。その普通っていうのはいわゆるインスタでバズるような「ゆるふわ」みたいな写真じゃなくて、ごくごくそこらへんに転がっているような写真。街の風景とかは見たままをなるべく再現するというような、そういう意識はしているかな。コントラストとか色味とかはどうしても自分好みに仕上げてしまうけど、気持ちの上ではなるべく演出はしないということですね。

ー写真に込めたメッセージや被写体の特徴を見る人に伝える工夫・手段としては、素直に見たままに撮るということを意識されているということですか?

まあそういうことだねー。自分の個性を押し付けようとするのはあんまり良くないと思ってるので。僕、くどい写真が嫌いなんです。なんか押しつけがましいというか。サラッと通り過ぎるような、目にも止まらないぐらいのノリの写真が好きなので。そういうのは意識してるかなあ。なんでかっていうと、そういう写真には飽きが来ないんですよ。過剰にドラマチックな写真って、その時は「わ~、凄~い」ってなるんだけれども、色んな写真を見ていくうちに、すぐに飽きが来ちゃう写真だと僕は思ってるので。やっぱり最初は、ドラマチックな写真を見ると目新しくて「うわ~」ってなるけども、色んな写真を見ていくと、淡々と撮られているような写真の方がやっぱりずっと残っていくし、飽きないね。ずっと見ていられる。だから僕が目指してるのは10年後も古くならない写真。半永久、不変的な表現ができれば良いなっていうのはある。だから写真に込めたメッセージを見る人に伝える工夫・手段っていうのはそういうことかもしれない。不変的な表現が伝われば良いのかな、と。そういう感じですね。

ー見る側にご自身が伝えたいことと違う捉え方をされるなどもどかしい思いをしたことはありますか?

もどかしいというのはないかな、全然。個展とかしてる時に来てくれる人がいろいろ言ってくれるんですけど。自分が結構学ぶというか、教えられるって感じ。だからもどかしいってよりも発見ばっかり。あー、そういう見方するんだっていう。じゃあそれちょっと引用して今度から自分で言おうとかね。そういう感じ。どうしてもね、やっぱり自分の写真って客観視出来ないんですよ。そこはもう人の意見に頼るしかないって感じかな。だからもどかしい思いをしたことはない。

ー写真に対する解釈に関しては客観的な意見を尊重するということですか?

そうですね。たぶん、写真ってそういうもんだと思ってるので。さっきも言ったけど、押し付けがましいのが嫌いっていうのはそういうところかな。あんまり主張がないというか、主張はしたくないというか。ただ、大前提として「視覚的にどうであるか」っていうのを僕は一番重要視していて。あくまでも見た目で勝負したい、っていうのがあるんですよ。そのほうがどこの国の人でも伝わっていくんじゃないかな、っていう気がしていて。視覚的に面白いとか、視覚的に綺麗とか、何撮っているんだろう、みたいなものが視覚的に伝わればいいのかな。

ーご自身が伝えたいことは見る人にどれくらい伝わっていると思いますか、どれくらい伝わることを前提に撮っていますか?

伝わっていないんじゃないですかね。基本的には。仕事の写真は伝わるということが大前提にあるし、伝えようとはしているんだけども、自分の写真は自分の好きなようにやりたいから、あんまり伝わっていない気がするな。本当に伝えたいと思ったら、やっぱりもうちょっと写真を見る人たちに歩み寄るというか、寄せるんじゃないですかね。インスタとかでも、いわゆる「映え」じゃないけどさ、バズるような写真を量産するんだろうね。まあ、やったところでバズるとは思えないけども、量産型の一人として存在するんじゃないですかね。

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