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マッチングビジネスの介在価値とは

SEEDERの吉冨です。

私はリクルート関連会社での事業企画・経営企画の経験および大手企業での新規事業としてのマッチングプラットフォームの運営の経験があります。苦い経験、大変な経験の方が多かったと振り返って思いますが、マッチング仲介者の介在価値について、重要なポイントを記しておこうと思います。

リクルートはご存知の通り人材斡旋による求職者と求人企業とのマッチング、また大手企業でのマッチングプラットフォームでは製造工場とものづくりをしたい人 / 会社とのマッチングでした。人が介在していてはプラットフォームの意味がないとも思われますが、PMFまでは人力でマッチングを支援し、下記のようなポイントを抑えた上での自動化 / AI化でないと結局成果が出ませんので元も子もありません。

マッチング事業のビジネスモデル図
リクルートでよく使われる「リボンモデル」

マッチングビジネスにおいて、単にクライアントとマッチング対象(事業によって人なのか法人なのかは様々ですので以下アセットと表記します)の条件を機械的に繋ぐだけではクライアントの目標を達成できません。クライアント企業の課題を深く理解し、最適なアセットをアサインすることで、初めて真の介在価値を発揮できると思っています。

1. クライアント課題の解像度を高める

課題:

クライアントの課題が曖昧だと、適切なアセットをアサインできません。

ただ当てはめるだけでは課題解決につながらない

最もよくあるパターンで、例えば人材マッチングにおいてクライアント企業が「マーケティングに課題を感じている」場合、単に「マーケティング経験者」を採用するのではなく、その企業が抱える具体的な課題 (ターゲット顧客へのリーチ不足、ブランド認知度向上など) に対して有効な施策を実行できるアセットをアサインする必要があります。

解決策:

顧客が課題解決までの道のりを作ることも仲介者にとって重要な職務
  • 課題ヒアリングと分析: 単に求めるスキルや経験を聞くだけでなく、なぜそのスキルや経験が必要なのか、クライアント企業が抱える本質的な課題を丁寧にヒアリングし、分析する。

  • 課題解決のロードマップ提示: 課題解決に向けてどのようなステップが必要なのか、具体的なロードマップを提示する。

  • 不足知見・スキルの補完: クライアント企業が課題解決に必要な知見やスキルを持っていない場合は、それを補完するアセットをアサインする。

  • 「アセット要件」への過度な依存回避: クライアント企業自身が作成した「アセット要件」は、必ずしも正確な課題やスキルを反映しているとは限らない。ヒアリングと分析に基づいて、独自の判断でアセットをアサインすることが重要。

2. ハードとソフトの両面から相性を見極める

課題:

ハードスキルのみを評価し、ソフトスキルを見落としてしまう。

「言語」が違うと会話が成り立たない

例えば人材マッチングの場合は、有名な企業での目立つ経験や難易度の高い資格やスキルを持つ人材であっても、コミュニケーションのスタイルや気質がクライアント企業との相性が合わないと、課題解決につながらないだけではなくお互いとの信頼を損ねることになります。

解決策:

ビジネスは人と人とのつながり
  • コミュニケーションの仕方: 迅速かつドライなコミュニケーションを好むタイプであったり、ウェットかつオンサイトでのコミュニケーションを好むタイプであったり。とり方は人 / 企業それぞれであるということを理解し、ケイパビリティの範囲内でのアサインをする。

  • 意思決定の仕方: クライアントが専門家として判断してくれることを望んでいるのか、客観的な外部からのモデレーターとしての役割を期待されているのか。それを人材が可能か、やりたがっているか。

  • 学習意欲: クライアントが外部の知見を元に学習したがっている場合は、検討材料を与えてワークショップ形式を採用し宿題を持ち寄る形式とした方が議論が闊達にでき成果物が充実する。

  • 協調性: クライアントが外部からの否定に対して許容できるか、アセットのコミュニケーションのスタイルがクライアントに合っているか。

  • ステークホルダーへの対応 / 理解力: クライアントによってはステークホルダーが多数存在したり、存在していることが後になってわかったりすることがある(後者は望ましくはないが)。アセットにその利害調整を穏やかかつ迅速に行うケイパビリティがあるか。

3. 細分化されたスキルを把握し、高度なマッチングを実現

課題:

スキルを大枠のみで捉え、詳細なアサインができない

専門性のミスマッチは双方のロイヤリティに悪影響を与える

例えばデジタルマーケティングといっても、上流の戦略策定・Webサイト制作・コンテンツマーケティング・SNS広告運用など、様々な専門分野が存在する。クライアント企業の課題に合わせて、それぞれの分野に精通したアセットをアサインすることが重要です。

また私が運営していたマッチングプラットフォームの場合は、製造工場に職人的な得意領域があったり、また図面への落とし込みをしてくれたりする対応力に差があったのでそうした違いを見極めました。

解決策:

人材マッチングビジネスにおける「マーケティング」のスキルセットを例に図示
  • 専門性の高いスキルセットの把握: 単に「マーケティング経験者」「システムエンジニア」といった大きな括りではなく、マスメディア広告、デジタルマーケティング戦略立案、工業系SEO対策記事執筆など、より細分化されたスキルセットを把握する。

  • 業界・職種・企業規模に応じたスキル要件の把握: それぞれの業界や職種、企業規模において求められるスキルは異なるため、個々の案件ごとに必要なスキルを把握する。

  • 最新トレンドへの対応: 常に最新の技術やトレンドに関する情報を収集し、クライアント企業のニーズに合致したアセットをアサインする。

まとめ

マッチングビジネスにおいて、真の介在価値を発揮するためには、単に求人企業と求職者を繋ぐだけでなく、クライアント企業の課題を深く理解し、最適なアセットをアサインすることが重要です。クライアント課題の解像度を高め、ハードスキルとソフトスキルの両面からアセットを評価し、細分化されたスキルを把握することで、高度なマッチングを実現し、クライアント企業の成功に貢献でき、ファンを創出できます。

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SEEDER
吉冨

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