トライブは人数が少ないからターゲットにしちゃいけない?
SEEDERが独自に定義している先進的な生活者”トライブ”は未来を先取る考え方や行動をしている人たちです。
彼らの価値観を深掘りすることで、3~5年度の生活者にソーシャルインパクトのある新商品 / 新規事業の開発が可能になります。
よくある質問としていただくのが、今の生活者の潜在的な義憤を解決しているトライブは少数なのだから、新商品 / 新規事業開発のターゲットにしてはボリュームがでなくて収益化できないのではないか?という質問です。
半分正解で、半分は誤解です
この質問は半分あっていて半分誤解があります。
まずトライブは現在は少数でプロダクト開発のターゲットとしては不適切というのはその通りです。しかしプロダクト開発はトライブをターゲットペルソナとして行なうわけではありません。
トライブの義憤から、一般の生活者の潜在ニーズを掴む
トライブの感じている義憤について、理由や解決手法の選択基準などを詳細に深ぼることによって一般生活者が潜在的に感じているインサイトを解き明かすことで、新規性とソーシャルインパクトを両立させたプロダクト開発をしていきます。
詳細なトライブデータを作る際にSEEDERではデプスインタビューを3~5人に実施します。その中であらかじめ用意した仮説に沿って意思決定や選択の基準・理由を掘り下げていきトライブが感じている価値観を言語化します。
> デプスインタビューに関するSEEDER流ノウハウをご紹介
その価値観の中から一般の生活者も潜在的に感じているが、慣れてしまったり解決するのが手間で諦めてしまっている「なぜ⚪︎⚪︎じゃないんだろう」「もっと⚪︎⚪︎だったらいいのに」という”義憤”を把握することで既存プロダクトにはない潜在ニーズを掴むことができます。レッドオーシャンの中の隠れたブルーオーシャンを探し出すことができるわけです。
SEEDERは特に大手のB to Cのプロダクトを作っているメーカーさまがクライアントに多くいらっしゃいますが、2020年以降は消費者理解を推し進めたいto B企業さまのご依頼も増えてきました。
専門のプランナーが実施
デプスインタビューの実施や、そこからのインサイト抽出にはスキルが必要です。
デプスインタビューは60~90分の限られた時間内で、
インタビュイーとの信頼関係を築く
本音を引き出す
回答を誘導しない
話しやすい雰囲気づくり
などのスキルが求められます。またトライブは世間的には尖った人たちですので、一般的には異端ととられる行動をしていることがままあります。そうした人たちから示唆に富む情報を引き出すのは、一般的なコミュニケーション能力とは違ったものが求められます。
例えば私:吉冨が以前デプスインタビューに同席させていただいたトライブは、ピンク色の縁のメガネをかけて緑色の髪をしていたビーガン(肉や魚を食べない人)の若い女性でした。私は日常でこうした人と触れ合うことはまずないので、自分に取ってはタイプが違う人から心理的障壁をなくして本音を話してもらう能力はとてもレベルの高いものだと感じたのを鮮明に覚えています。
インサイト抽出に必要な能力
またデプスインタビューを質良く終えたとしても、インサイト抽出についてもまたレベルの高い技術が求められます。
共感力と観察力
定量的なデータから仮説を導き出すこととは違い、日常から幅広い層の生活者や先進的な情報に関心をもち「なぜその行動を取るのか」「何を重要視しているのか」を常に考える癖を持っておく必要があります。質の良いインサイトを抽出するには
心理学的理解
インサイト抽出には心理学の理解もかなり助けになります。行動経済学や認知バイアスの理解を基に、生活者が必ずしも論理的に行動するわけではないことを踏まえた分析をする必要があります。
ストーリーテリング
どんなに価値のあるインサイトを発見しても、それを関係者に効果的に伝えられなければ意味がありません。発見したインサイトをシンプルで魅力的な形にまとめ、誰もが直感的に理解しやすくする必要があります。
たとえば、SEEDERではクライアントの依頼を受けた際には機会領域と呼んでいるどのようなビジネスチャンスが存在するかについてもレポートの考察に入れることが多いのですが、インサイトを基に生活者のペルソナを描き出し、彼らがどのように商品やサービスに触れるのかを物語として伝える方法があります。また、ジャーニーマップを活用して、生活者の体験を視覚的に示すことも効果的です。インサイトに命を吹き込み、関係者の心を動かすことで、その価値は最大化されます。
文化・社会的コンテクストへの理解
生活者はそれぞれ異なる文化や社会的背景を持っています。そのため、インサイトを抽出する際には、彼らの価値観や行動がどのような社会的文脈の中で形成されているのかを理解することが必要です。
たとえば、地域文化やシニア 〜 ロスジェネ 〜 Z・α世代などの世代特有の価値観や時代の潮流は、生活者の行動に大きな影響を与えます。さらに、グローバルなトレンドとローカルな特徴の双方を捉える視点が求められます。この知識があれば、単なるデータや行動の表面的な解釈ではないより深い理解が可能になります。
仮説構築と検証力
当然ではありますがインサイト抽出のプロセスは、仮説の構築から始まります。生活者の潜在的なニーズや動機に関する仮説を立て、それを検証することで、真のインサイトにたどり着くことができます。
重要なのは、仮説を固定化せず柔軟に修正する姿勢です。初めてのインタビューや観察で得られるデータは、時に予想を覆すこともあります。このような新しい発見を受け入れ、仮説をアップデートし続けるプロセスが、的確なインサイトを生む鍵になります。
先入観を排除する姿勢
生活者のインサイトを抽出する際に最も避けるべきは、先入観や思い込みです。自分の価値観や市場の常識を押し付けず、生活者の「そのままの姿」をありのままに理解することが大切です。
たとえば、当たり前と思われる行動や価値観にも疑問を持ち、それがどのような背景や動機によるものなのかを丁寧に探ることで、新たな発見が生まれます。この謙虚なアプローチが、深いインサイトを得るための基盤となります。
“インサイト抽出まで”などのご依頼も承っております
インタビュー実査のみや、インサイト抽出までといった顧客からのインサイト抽出プロセスの一部分のみでのご依頼やワークショップの主催も承っております。クライアントさまのご用件やご予算にしたがって柔軟にワークデザインをオーダーメイドで作らせていただいていますので、気になることがある方はお気軽にご相談ください。