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異物混入の実体験、再発防止のあれこれ
#KENMAYA です。
製造業の端くれに身を置く者として、『異物混入』と聞くだけでゾワゾワしてしまうのは職業病でしょうか。今まで数々の異物混入事例を実際に見て、毎回反省文(という名のコピペ文章)を書き、時には赤伝(※返品や賠償のマイナス伝票)を切られ、痛い目を見てきた身としては他人事じゃありません。
『異物混入』と一言で言っても、実際は様々な事例があります。今日はわたしが経験してきた、そんな事案の数々をご紹介したいと思います。
・ 布きれ、糸くず、ゴム片、髪の毛
『異物混入』の代表格がこの4つです。これは、最終品質検査を人力で行っている場合、年に数回は発生するヒューマンエラーであり、対策として検査室を空圧室にした上で、検査室に入る前に着替え、粘着ローラーで全身を拭き取り、紙帽をかぶって、マスクをして、手首まである手袋をゴムで縛ったりと、様々な再発防止策を打っていても、なぜか発生する不可思議な現象です。
幸いなことにこれらの『異物混入』はわたしのいた業界では、反省文と再発防止策の提出で免れてこれましたが、衛生環境の基準の厳しい業界でしたら恐らくこれだけでも大問題となるでしょう。
まぁ、わたし個人的にはラーメン屋などで髪の毛が入ってても気にしない人間なので、目くじら立てる程のことじゃないとは思っていますが、世の中はそう甘くはありませんよね。
・ タバコの灰、虫の死骸、???
次点で多いのがこういったガチの『異物混入』です。いや、タバコの灰とか論外だろ。と言いたくなるのは分かります。しかし、未だにあるんですよ、これが。
もちろん作業員がくわえタバコをしながら作業をすることなど、あってはならないんですが、町工場の現場なんかだとおっちゃん一人がくわえタバコしながら作業をしている光景は未だに見かけます。
虫の死骸についても完全に密室なのに、『どこから入ってきた?』ってところにポトリと入ってしまうこともあり、これが万が一にでも食品や容器に封入されてしまったら最後、全ロット品回収などのおおごとに発展し、最悪一つ二つ会社が吹き飛びかねません。
最後の???は少し閲覧注意です。
製造現場では時として、『名状しがたきもの』が混入することがあります。それは、決してホラー小説などではなく、事実として存在します。
わたしが実際見聞きしたもので言うと、「人の指と思わしき肉片」、「性行為の際に使用する使用済のゴム製品と思われるゴム片」、「人間の血液と思われる大量の液体」、「製造工程に使用されていないはずの注射針と思われる針状の鉄片」などです。
いやホラーやん。と思うかもしれませんが、全てリアルで起きた事例です。製造工程の作業員が悪意を持って混入させたであろう異物であったり、何らかの労災事故が起こった故に混入したであろう異物は、製造元や製造工程にいくら問い合わせても頑なに口を割りません。
こういった異物混入は反省文どころでは済みません。寛大な処置として返品、最悪は弁償、賠償、もっと最悪なパターンは工程点検という名の査察です。その製造ラインの本部の親玉の品質保証部やら、製造管理部やらのお偉方が大挙して押し寄せ、【取引停止】をチラつかせながら、徹底的にダメ出しをされた上に、全てのダメ出しに対応した旨の報告書の提出が義務付けられたりします。
こうなると数日は仕事どころではなくなり、まさに悪夢と言わんばかりの徹底した対策をしなくてはなりません。全数検品は当然、協力工場や製造工程に1日中張り付いて監視したりと、思い出すだけで、リアルに泣きそうになります。
・ 異種同形品の混入、不良品の混入
製造業につきものなのが、この2つの『異物混入』です。全ての工程が機械化、自動化していれば防げるであろう、代表的なヒューマンエラーです。
受入検査の結果、不良品が見つかり返品。全数検査を行って再納品したが、再び不良品が見つかり再返品。という無限ループに陥るようなこともあり、「どうすりゃいいのよ…」と頭を抱えることもしばしば発生します。
基本的に検査や仕分けを人間の手で行う以上、こうした事象はゼロリスクにはなりません。また、検査の基準や手順といった【標準化】が取引先ときちんと交わされていない場合、こっちの基準はクリアしていても、取引先でNGとされる事例も多々あります。
一言で製造業といっても、素材を作るメーカーから部品を作るメーカー、精密機器を作るメーカー、あらゆる業界でクリアランス(寸法や外観などの誤差の許容範囲)が異なり、検査基準や『異物混入』への対応も大きく変わっているのが実情です。
将来的に製造業の大部分が自動化、機械化されていくのでしょうが、こういった『異物混入』がなくなる未来は来るのでしょうか?それとも人が生きていく以上、ヒューマンエラーは起こり続けるのでしょうか?
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
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